IT Stock Frontline

ハイテク株に逆風吹く

2006/05/22 16:04

週刊BCN 2006年05月22日vol.1138掲載

急回復のソニーもさえず

円高が業績に影落とす



 主要ハイテク企業は2006年3月期の決算発表が一巡。為替相場が一時1ドル=112円台に上昇するなど外部環境に逆風が吹き始めていることもあって、業績が期待外れだった企業の株価は下落する場面が目立つ。

 その代表がソニー。06年3月期の営業利益は1913億円(前期比68%増)と急回復したものの、会社側が明らかにした07年3月期の予想は1000億円(前期比48%減)とアナリストが予想していた平均1700億円を大きく下回った。液晶テレビの販売好調が伝えられるなどエレクトロニクス部門の復活が期待されたものの、実際に06年3月期の業績回復を支えたのは保険など金融部門だった。03年春には業績の大幅下方修正から株式市場全体の波乱を招き「ソニーショック」と呼ばれた。それから3年。株価下落が市場全体に波及しなかったのは、ソニーの存在感が薄れているためか。

 ビクターは06年3月期の当期損益の赤字幅が306億円(前の期は18億円)に拡大したことからショック安に。

 東芝は07年3月期の営業利益見通しが10%増と業績は好調。ただ、携帯音楽プレーヤーなどに使用されるフラッシュメモリなど電子部品が利益の約6割を稼ぐ構造。今期も大幅な増産を目指すが、ライバルの韓国サムスン電子も増産を計画しており、業績はメモリ市況がカギを握るとの不透明感が株価にはマイナスになっている。

 ところで、主要ハイテク企業の07年3月期についての為替の想定レート(対ドル)を見ると、日立製作所、東芝、三菱電機などが110円。円高を想定しているのは松下電器産業107円、京セラ108円。逆に、ソニーは113円、富士通、シャープ、パイオニアが115円、キヤノンは117円と、現在の円高水準が継続すれば業績予想にも影響が出る可能性がある。(有賀勝久)
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