未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>90.クレイプ

2006/08/28 20:44

週刊BCN 2006年08月28日vol.1151掲載

“電子付箋”で情報管理

 2004年設立のソフト開発ベンチャー、CRAPE(クレイプ、相川大輔代表取締役)は情報の管理と共有、送受信を行うウェブアプリケーションツール「Rinca(リンカ).cc」を開発、一般消費者向けに提供する。

 リンカは、ウェブサイト上に“仮想デスクトップ”をつくり、その画面上に「情報を付箋のように貼り付ける」(相川代表取締役)ことができる。残しておきたい情報や管理したいスケジュール、ToDoリストなどを付箋に書くようにウェブ上で作成。その“電子付箋”に書いた情報を、この仮想デスクトップ画面上に貼り付けておくことで情報を管理するというわけだ。「新しい情報を付箋に書いてシステム手帳に貼り、情報を管理する感覚」という。

 それだけでない。本物の付箋は情報を記入して貼っておくだけにとどまるが、リンカの電子付箋は、個人の情報管理のほか、設定次第で他のリンカユーザーの仮想デスクトップにもネットを通じて貼り付けたり、ホームページ上にアップすることも可能で、情報の管理だけでなく、「共有・発信が可能」(草間正則・取締役WEBストラテジーディビジョンゼネラルマネージャー)という。親しい友人同士だけで情報を共有する「SNS」に似た機能も備えている。さらに、時計やニュース情報などの「ウィジェット」と呼ぶアプリケーションも用意しており、ユーザーが使いたいアプリケーションは仮想デスクトップに貼り付けることもできる。

 約4か月かけて開発。「リンカの持つ機能をすべて包含した形のサービスは、今のところほかにはない」(相川代表取締役)としており、今年5月末にリリースして現在5000人弱のユーザーを確保。年内に10万人は獲得したいと強気だ。

 リンカはクレイプのサイトから会員登録すれば、誰でも無料で利用でき、ビジネスモデルはユーザーに向けて発信する広告収入に限られる。飛躍的な売り上げの拡大は期待できない。そのため、リンカを一般消費者への提供だけでなく、企業の情報共有ツールとして販売することを計画。現在企業向けモデルの開発を急ピッチで進めている。また、日本だけでなく海外市場にも来年には進出する予定で、一気に販売エリアを広げる。3年後の売上高は5-6億円を想定している。

 もともとはオンラインゲームの配信事業を手がけていたが、軌道に乗らず、その後に電子付箋というユニークな発想で総合コミュニケーションツールを開発した。今は、ほぼリンカのみに集中し、製品開発に力を注いでいる。(木村剛士)
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