IT Stock Frontline

恩恵を受ける企業を探せ

2006/09/11 16:04

週刊BCN 2006年09月11日vol.1153掲載

携帯番号継続制度が株価に影響

 携帯電話のナンバーポータビリティ(番号継続)制度が10月24日から始まる。株式市場では恩恵を受ける企業を探す動きが出ている。

 制度変更で、利用者はサービスや価格などを判断して携帯電話会社を選べるようになるため、携帯電話会社間の顧客囲い込み・顧客獲得競争が一層激しくなりそうだ。ひと足早く2004年にナンバーポータビリティ制度を実施した韓国では、それまで圧倒的なシェアを誇っていたSKテレコムがシェアを落としたが、加入者が増えた2番手以下の企業についても広告宣伝費の増加、割引制度などのせいで顧客の増加が収益には結びつかなかったという。日本の場合も、NTTドコモ、KDDIなど携帯電話会社にはプラス効果が期待できそうもない。

 携帯電話の買い替え需要の恩恵を受ける販売代理店や、新たな関連サービスを開始する企業がメリットを受けることになりそうだ。

 例えば、さくらインターネット(東証マザーズ)は、ナンバーポータビリティで携帯電話会社を変更しても継続して使えるメールアドレスの無料提供を8月に開始した。

 アイ・ティー・シーネットワーク(東証2部)は、首都圏を中心に携帯電話端末や関連サービスの販売を手がける。販売台数の9割以上はドコモの製品で、ヨドバシカメラなど大手量販店の携帯電話コーナーを約300か所運営している。通信会社間の競争が厳しくなれば代理店の再編も進み、同社のような大手には成長機会が増える可能性が大きい。

 このほか、携帯電話の営業支援が主力で、営業員の派遣や販売店の運営を手がけるジェイコム(東証マザーズ)。携帯電話の高機能化で1台あたりに使うコネクタの数が増えており、携帯電話向けのコネクタでシェアトップの松下電工も恩恵を受けよう。(有賀勝久)
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