IT Stock Frontline

ソフトバンク、人気復活なるか

2006/10/23 16:04

週刊BCN 2006年10月23日vol.1159掲載

高値回復も市場には逆風吹く

 ソフトバンクは、株式市場では個人投資家の間で絶大な人気を誇る。売買代金(出来高と株価を乗じた数字)とは、その株式についてどの程度の金額が売買されているかを示すものだが、今年9月以降を見ても連日のようにソフトバンクが首位となっている。

 その株価は昨年12月末の5220円を高値に下げ歩調となっていたが、7月6日にメリルリンチ日本証券が「目標株価1800円」としたことから株価は急落、7月19日には1894円の安値をつけた。その後は複数のアナリストの売り推奨が相次ぐなか、株価は戻っては売られを繰り返してきたが、9月に入ってからは好転し、10月初めには2500円台まで上昇してきた。

 株価へのプラス材料としては、(1)買収した携帯電話事業の証券化による低利の資金調達が可能になり、財務面の不安が後退(2)9月末の携帯電話事業戦略に関する説明会では、年内15機種の新規投入や、ヤフーのサイトと連携した新サービス導入を発表(3)株式売買について、10月から所属業種が「卸売業」から「情報・通信業」に移行─などがあげられる。そして個人投資家の人気を集める要因は、何より株価の「波」が大きいこと。1997年安値から00年の高値19万8000円まで「118倍高」。そこから02年11月の安値まで「98%安」した後、昨年12月高値まで「19倍高」した経緯がある。今後、意外な高値まで上昇する可能性を秘めている。

 ところが逆風が吹き始めた。ジャスダック、東証マザーズといった新興株市場の急落だ。新興株市場は個人投資家の売買比率が高いほか、ネット関連株の取引が多く、ソフトバンク株を売買している向きと投資家層が重なる。楽天が年初の高値から3分の1になるなど、ネット株の急落で個人投資家は大きな打撃を受けており、それがソフトバンクの株価の勢いを削ぐ要因になっているようだ。(有賀勝久)
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