IT Stock Frontline

ハイテク株が上昇

2006/10/30 16:04

週刊BCN 2006年10月30日vol.1160掲載

景気の軟着陸を好感

 米国株市場の上昇が続き、ダウ平均は2000年1月に付けた過去最高値を6年9か月ぶりに更新してきた。

 「景気後退下のインフレ」という最悪のシナリオが、高騰を続けていた原油価格の下落で後退。景気拡大は痛みを伴わずに巡航速度に落ち着く、いわゆるソフトランディングへの期待が高まったためだ。

 米国株の上昇は、海外投資家のリスク許容度が高まることで、日本株に対する資金配分の増加につながる。また、米国企業の7-9月期決算は好調で、とくに半導体関連を中心にハイテク企業の好業績は、業績面・株価面ともに連動性の強い日本のハイテク株にも好影響を与える。

 半導体セクターでは製造装置の東京エレクトロン、ウエハー関連の信越化学工業、SUMCO、コマツ電子金属、東芝セラミックス、DRAMのエルピーダメモリなどの株価が上昇している。

 また、為替相場が1ドル=120円近い円安水準になっていることで、ハイテク企業には業績の上方修正期待が大きくなっている。キヤノン、オリンパスが上場来の高値を更新。日本企業も06年9月中間決算の発表シーズンに入るが、ハイテク企業の場合は10月末から発表が本格化することで、業績内容に関心が集まる。

 ところで、米国のダウ平均は国を代表する30社で構成されているが、個別企業の株価を前回の最高値時点(00年1月)と比較すると、上昇率トップはアルトリア・グループ(たばこのフィリップモリスなどが傘下)で3.2倍、2位が建設機械のキャタピラーで2.5倍。そのほか、ボーイング、エクソンなど景気敏感株が値上がり上位。逆にハイテク株は下落が目立つ。前回がITバブルだったこともあり、インテルの60%、マイクロソフトの40%下落をはじめ、IBM、GEが20%を超える下落となっている。(有賀勝久)
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