IT Stock Frontline

日米ともに決算に明暗

2006/11/06 16:04

週刊BCN 2006年11月06日vol.1161掲載

USENの情報開示遅れは懸念材料

 日本より一足早く企業の決算発表シーズンを迎えた米国では、ハイテク企業の好調ぶりが目立っている。例えば、アップルコンピュータ。7-9月期は携帯音楽プレーヤー「iPod」の出荷が前年同期に比べて35%増の872万台と好調を持続、純利益は27%増益となった。また、IBMはパソコン事業売却を軸にした事業モデルの見直しが数字になって現れ、純利益は46%増益に。そしてネット検索大手のグーグルの7-9月期は、広告収入の伸びに支えられて純利益が約2倍の7億3336万ドル(約900億円)に膨らんだ。この市場予想を上回る好決算を受けてグーグルの株価は急騰した。対照的に業績が不振だったのが米国ヤフー。検索連動型広告で出遅れたことが響いて、純利益は38%減の1億5900万ドル(約190億円)に落ち込み、ネット業界の主役交代が進んでいることを印象づけた。

 国内でも2006年9月中間決算の発表が本格化しているが、明暗が分かれている。東芝は決算発表に先立ち、業績予想を上方修正。円安効果のほか発電所設備などの拡大が貢献した。

 一方、ソニーは業績を下方修正。07年3月期の営業利益は従来予想の1300億円に対して500億円になるという。ただ、修正理由がリチウムイオン電池の回収費用や「プレイステーション3」の販売価格の変更などの影響とあってサプライズはなく、株価にはほとんど影響しなかった。

 株価が回復途上にあった新興市場にショックを与えたのがUSEN。発表した06年8月期は最終損益が88億円の赤字。従来予想は10億円の黒字だった。子会社の事業価値見直しなどで監査法人との調整が長引いたとはいえ、決算発表当日の大幅な修正は上場企業に求められる迅速な情報開示からはほど遠い。ライブドア事件に端を発した新興企業に対する不信感が再び高まる懸念もある。(有賀勝久)
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