SI新次元 経常利益率10%への道

<SI新次元 経常利益率10%への道>35.富士通ビジネスシステム(下)

2007/02/05 20:37

週刊BCN 2007年02月05日vol.1173掲載

利益を創出する3つの改革

コンサル型提案で事業基盤を一変

 売り上げが下がっても利益を着実に出せる体制を築いた富士通ビジネスシステム(FJB)。ハード販売事業からの脱皮に成功し、収益を確実に出せる体質を築いた背景には、自社開発ソリューションの成長と、顧客の業種ごとに細分化した“コンサル型営業”の徹底、そしてサービス事業の変貌があった。この3つの改革が、FJBのビジネス基盤を変えた。

 他社パッケージを担ぐよりも、まずは利幅の大きい自社ソリューション「WebASシリーズ」の品揃えを強化した。業種・業務ソリューションのメニューは、2005年度(06年3月期)では11個だったが、今は22個に倍増。08年度までに50個まで増やす。ラインアップの強化で、「WebASシリーズ」は、06年度で受注本数350本、売上高35億円、売上総利益率は23.1%になる見込み。05年度と比べれば、売り上げは15億円、売上総利益率は2.6ポイント上昇することになる。

 この自社ソリューションを担ぐ営業改革も併せて行った。他社に負けない提案力を身につけるためには、顧客の業種に沿った特有の業務知識を、ITベンダーの営業担当者とはいえ身につける必要があると判断。顧客の業務改革をITで推進するコンサルタントになることを掲げた。IT製品・サービスを売る営業ではなく、顧客の業務を理解し生産性向上や効率化のために提案するコンサル型営業に努めたわけだ。業種の区分けは、06年度上期では19種類、08年度までには40種類まで細分化する。

 FJBは、顧客を(1)中堅民需(2)自治体(3)医療機関(4)大手企業の4つに分けるが、なかでも中堅民需でこのコンサル型営業を徹底した。中堅民需ビジネスの売上総利益率は、04年上期は18.9%だったが、06年上期には21.0%と2.1ポイント上昇している。コンサル型案件に位置づける事業の売上高は、今年度は05年度比80%増で成長する見通しで、売り上げ、利益ともにFJBの成長エンジンになった。

 そして、もうひとつの改革がサービスビジネスだ。FJBのサービス事業は、大きく分けて保守サポートと運用サービスの2つに分けられ、ハードの販売比率が高かったため、保守サービス事業の占める割合が大きかった。だが、保守サービスはハードの単価下落の影響で売り上げ、利益の落ち込みは避けられない。そこで、FJBは自主営業と富士通グループの保守会社、富士通サポート&サービス(Fsas)から受託する保守サービスを戦略的に縮小。その代わりに、運用サービスなどの「ITMS」事業にリソースをシフトした。この結果、05年度のサービス事業のなかで52.4%を占めた保守サービス事業が、今年度上期には48.3%まで縮小。08年度までには、38.0%まで下げる計画を立てる。

 FJBを高収益体質への導きつつある3つの改革。順調に進めば、営業力に強みを持つだけに経常利益率10%の確保も見えてくる。(木村剛士●取材/文)
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