団塊退職マネーは配当に期待

 中国株の暴落に端を発した世界的な株安連鎖に巻き込まれ、東京市場も大きな下げに見舞われた。

 今回の株価波乱を大きくしたのは、円キャリー取引(円借り取引)の巻き戻しの動き。円キャリー取引とは、超低金利の円で資金を調達して世界各国の株式や商品で運用するもの。これまでの世界的な株高や商品相場の高騰を支えていたのは、それを利用したヘッジファンドともいわれる。ところが、日銀が2月に利上げを実施したため、円キャリー取引を解消する動き、つまり借金を返済するために株式市場から資金を引き揚げる動きが出ている。これは円高が進行する要因でもある。

 日本の輸出企業の多くは、2007年3月期の前提為替レートを1ドル=115円に置いている。円高が進行すると収益の上方修正期待が後退するばかりか、08年3月期業績についての不透明感が増してくる。株価下落のなかでもとくにハイテク株の不振が目立つのはこのためだ。

 株安に歯止めをかける要因として考えられるのは「配当利回り」だ。上場企業の07年3月期の配当総額は株主からの利益還元要請、業績向上を背景に06年3月期に比べて10%程度増えることが予想される。団塊退職マネーなど株式市場に新たに流入する資金は、企業の安定度などとともに配当利回りの高さを選別の基準にしているとされる。配当利回りの魅力が株価下支え効果となろう。

 また、今年5月には外国企業が株式交換方式で日本企業を買収できる「三角合併」が解禁される。ブランド力、技術力を持つ日本企業をターゲットに外国企業の敵対的買収が相次ぐ可能性もある。外資の敵対的買収に備えた企業価値の向上、日本企業同士の合併を軸にした業界再編が進むことも考えられる。支配証券としての株式の側面に目が向くことになろう。(有賀勝久)