次世代Key Projectの曙光

<次世代 Key Projectの曙光>2.NTTデータ(下)

2007/04/09 20:40

週刊BCN 2007年04月09日vol.1182掲載

低コストの実現に頭悩ます

 NTTデータの住田典子氏は育児休業中の経験から、電話やFAXなど、複数の機器に情報を一斉同報するサービスを思いつき、社内の新規事業ファンドに応募。第1次のアイデアペーパー審査は通過したものの、事業収益性の観点から、次段階の実証実験に進むことができなかった。だが周囲の後押しを受けて、2005年7月、再挑戦した。
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 再挑戦でも審査員は事業収益性を疑問視していたが、熱意が通じ、実証実験に進むことができた。当時勤めていたNTTデータ関西の開発チームにデモ版開発を依頼。まさに「手弁当の世界」だったが、開発チームは優先的にこなす協力体制を築いてくれた。住田氏は実験先の生駒小学校(奈良県)で何度もワークショップを開き、PTAと話し合い、課題を改善していった。

 実験期間中の06年1月25日、正式に事業化が決まった。「NTTデータは公共性の強い会社。意義を見出したのだろう」と振り返る。事業化が決まっても、コストが頭を悩ませた。全国展開するには、新システムを開発する必要がある。特に「音声(電話)」は開発にも運用にも費用がかかる。やがて、メンバーの1人が既存の電話会議システムを見つけてきた。その転用により、コストを抑え、1台で1500本の通話を実現した。

 営業は販売代理店が担うが、積極的に顧客を増やすことはしない。「導入先でサービスを大事に育てることで、口コミで次に広がる」からだ。口コミで知った顧客はサービス概要などが分かっているため、開始時期を詰めるだけとなる。「効率化を図りながら、やりたいことをやる」。常に頭の中で複数のタスクが動いている。

 実際に事業化してみえた課題がある。「通信料と基本料を分けずに月額40円徴収していたところ、ほぼ通信料で飛んでしまった」。今春から使用頻度に合わせた課金体系に変更する。また、使い方を浸透させる必要がある。ガイドラインを作成するなど、地域に溶け込む仕組みづくりのために知恵を絞る。現在ブログで情報を公開中だ。

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