景気が回復に向かっているということだろうか、主要な企業が軒並み新卒の採用を拡大しようとしている。IT企業も例外ではない。長い不況の後だけに望ましい傾向である。

 IT企業の人材不足は慢性的であるが、その原因のひとつに、IT系の学部や学科で学ぶ学生が少ないことがあげられる。さらに問題なのは、その少ない学生のなかに、コンピュータがそれほど好きではない、プログラミングができない、といったおよそ役に立ちそうもない学生が一定の割合で存在することである。

 日本の大学生は勉強をしないと昔からいわれてきたが、勉強しなくても就職でき、企業が社内研修でじっくり育ててくれた時代が長く続いた。だが、いまはそのような研修に時間や経費をかける余裕のある企業は少ない。

 そのうえ、人材の流動化が進み始めている状況下では、せっかく育成しても簡単に辞められてしまうリスクが大きい。このような事情から、企業は新卒といえども即戦力を求めているのである。

 学生は在学中しっかり勉強して、すぐに役立つような高い専門性を身につけてほしい。大学で遊んで企業で勉強をするというような甘い考えは、もう通用しないことを認識すべきである。

 大学のほうも学生を厳しく教育して、理論と実践の面で力があり、即戦力となるような人材を育てる必要がある。IT系の学生ならシステム設計ができ、どれかひとつのプログラム言語に精通していることが最低の条件であろう。

 一方、企業もただ待つだけではなく、積極的に大学に働きかけて自らのニーズを伝え、場合によっては人材育成に協力するという姿勢が必要だろう。

 コンピュータは、独学であってもある程度のレベルまで到達できる。なぜなら、ノートPCとネットワークがあれば、十分な教育環境が整うし、関連書籍も多数出版されているからである。

 IT系以外でも、本当にコンピュータが好きで、自分で勉強して高いレベルに達している学生が、文系や理系の学部に少なからずいるものである。

 そのような学生は集中力や問題解決能力があり、有望なのだが、専攻がITではないという理由や、協調性やコミュニケーション能力に問題があるとみられて大手企業では敬遠される。

 中小やベンチャー企業は、そういった学生を積極的に採用したらどうだろう。これからの時代は、むしろそのような人材が活躍するのではないだろうか。