SI新次元 経常利益率10%への道

<SI新次元 経常利益率10%への道>47.システムエグゼ(上)

2007/05/07 20:37

週刊BCN 2007年05月07日vol.1185掲載

3年で売り上げ倍増

社員のやる気高める

 システムエグゼ(佐藤勝康社長)は、過去3年間で売上高を2倍あまり伸ばした中堅SIerである。エンドユーザーから直接受注する元請けを重視し、自らが得意とする技術や業種の領域を明確化してきたことが競合他社との差別化に結びついた。3年後の2009年度(09年12月期)の売上高は昨年度の約2倍に相当する43億円、営業利益率は6%を目指す。

 売り上げを3年ごとに倍増させる原動力は、「社員のモチベーションに高さにある」と佐藤社長は断言する。98年の創業時から一貫して“社員満足度の向上”を経営理念のひとつに掲げてきた。“やらされ感”が強くなりがちな下請けの仕事は極力避けた。売上高全体に占める元請け比率は約7割。下請けでしか仕事がとれない中小SIerが多いなか、その比率の高さが目を引く。

 システムエグゼを起業する前に役員を務めていたシステム会社の仕事のほとんどが元請けだったこともあり、エンドユーザーと直接交渉する術は社長自身が身につけていた。

 元請け比率が高いため、経験が浅い新入社員をベテラン社員の下で経験を積ませることもできる。品質に責任を負う元請けだからこそ、ベテランと新人を組み合わせた構成メンバーでプロジェクトを遂行できる。

 同社の技術分野での得意領域はデータベースやセキュリティ、業種分野では医療事務や生産管理、保険など。こうした得意分野を持つことで元請けの仕事がとりやすくなった。これにより社員のスキルアップと満足度向上が進み、退職率を引き下げることにも結びついた。

 ここ10年、「新卒採用の社員が辞めた例はほとんどない」と佐藤社長は胸を張る。社員が辞めることによるノウハウの流出を最小限に抑え、得意分野の深掘りを効率よく行うことが可能になった。約200人の社員のうち半分近くをプロパー社員で占める。

 創業間もない頃は、実績や資本金が少ないことなどを理由に、「大手SIerの下で働いてくれ」と顧客から言われたこともあった。だが、「やりがいのある仕事をとってくるのは経営者の責任」と考え、元請けでの受注にこだわった。実績を積み上げ、資本金も昨年10月に1億円に増額した。元請けで大きな仕事もとれるようになってきた。

 株主構成もユニークだ。数十人の有志社員が同社株式の4割あまりを保有し、株主の立場で経営をチェックする。佐藤社長の持ち株比率は約3割で、役員全員合わせても6割弱。社員の満足度を損ねる経営をすれば、「解任もあり得る」。経営者と社員のいい意味での緊張感が保れている。(安藤章司●取材/文)
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