最近、急にSaaS(Software as a Service)に関するニュースや解説記事が増えたような気がする。SaaSとは、簡単に言えば「従来、ソフトウェアが提供していた機能を、インターネットを通じサービスとして提供(販売)する仕組み」である。

 つまり、ベンダーが開発したソフトを、ユーザーが保有するハードウェアにインストールして利用するのではなく、ベンダー側のサーバーにインストールして、ユーザーはウェブ・ブラウザを通じてそのサーバーにアクセスして利用する仕組みである。

 ただ、こういう説明をすると「それは数年前にちょっとブームになったASPと同じじゃないか」という反応が返ってくる。確かに、SaaSはASPの一種だ。しかし、SaaSがソフトウェア・ビジネス、特にソフトウェア・プロダクト・ビジネスに与えるインパクトは、従来のASPとはケタ違いに大きい。ちょうど、インターネットとコンピュータ・ネットワークの関係に近いかもしれない。インターネットはコンピュータ・ネットワークの一種であるが、社会や経済、企業活動やわれわれの生活に及ぼしたインパクトは、従来のコンピュータ・ネットワークを遙かに超えていた。

 SaaSの特徴は、1つのシステムで複数のユーザーにサービスを提供する構造(マルチテナント方式)であり、ユーザーのカスタマイズ情報をメタ・データとして持つという仕組みによって、かなり自由にカスタマイズできる点にある。さらに、最初からSaaS用のアプリケーションとして設計されており、他のアプリケーションとの連携が容易になっていることも特徴だ。

 これによって、SaaSはスケールメリット(規模の経済性)が働き、利用者にとって使いやすく、コスト・パフォーマンスのよいものとなっている。

 では、SaaSは何をもたらすのか。

 現在、SaaSの利用者は比較的規模の小さな企業であり、またその分野はCRM(顧客管理)やSFA(販売支援)が中心だと思っている人が多いだろう。しかし、実態はそうではない。CRMやSFAなどの分野では中堅企業や大企業での利用も増えているし、分野としてはHRM(人材管理)や会計・財務など様々なSaaSが普及し始めている。

 SaaSの未来を語るのは早計かもしれないが、現在のソフトウェア・ビジネスのかなり部分を代替するのではないかと思っている。