ACCSの仕事は、著作権侵害対策が中心であることはご存じの通りだが、何年も前から、教育にも力を入れている。侵害対策の一方で教育は必須だと考えるからだ。そして、著作権侵害とプライバシー侵害などは表裏一体であることから、教育の範囲は、著作権より広く「情報モラル」として扱っている。

 元来、子供たちや学校関係者を対象にしていたが、昨今は範囲を広げ自治体の枠で情報モラル教育に取り組むことを推奨している。まずは「情報モラル都市宣言」をしてもらい、自治体の職員や住民に、プライバシー保護や情報管理の意識を高めていこうという目的である。

 こうした考え方にはマイクロソフトが賛同してくれている。そして、自治体として川崎市が最初に賛同し、マイクロソフトとの提携という形で6月7日に発表された。このことは、情報の価値を出発点にした地域活性化の最初の一歩だと私は位置づけている。

 他の自治体にも、地域社会の個性や自治体が持つ戦略に従い、特性に合った「宣言」をしていただきたいと考えている。情報漏えいやプライバシー侵害のリスク軽減というメリットのほか、コンテンツビジネスの観点からもっと積極的に「創作の復興」やIT技術によって地域・郷土を再発見し、誇りを持つきっかけになるものと期待している。ACCS会員企業にとっても、技術が利用される契機となるはずだ。

 一方、7月1日施行で著作権法が一部改正されたが、第37条が見直され、視覚障害者のために、録音された著作物を公衆送信で提供できるようになった。

 私は、昨年から特定非営利活動法人全国視聴覚障害者情報提供施設協会の理事にも就き、この協会の「ICTを活用した新時代の視聴覚障害者情報提供システムのあり方」の検討会メンバーを務めている。ハンディキャップのある人にとって、IT(ICT)は、社会との接点という意味で重要なツールだ。この視点に立って、著作物であるコンテンツと、それを利用する技術をつなぎたいと考えている。ACCSの会員には、コンテンツホルダーも、技術開発会社も多数参加している。

 これからのACCSは、地域社会やハンディキャップを持つ人のようにITに期待するグループと会員企業とを橋渡しし、あるいは、会員同士をつなげ、新しい仕事の創出とともに個々の企業の社会貢献の役にも立てるのではないかと考えている。