次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>17.GMOインターネット(上)

2007/07/30 20:40

週刊BCN 2007年07月30日vol.1197掲載

ネットで金融サービス提供

 GMOインターネット証券は、2005年10月に設立された、GMOインターネットのグループ会社だ。オープンソースソフト(OSS)などを活用し、自社で1からシステムを構築したことで開発費を抑え、ユーザーの利用手数料も安価にすることができたほか、Ajaxなど最新技術を活用し、利便性の向上を図っていることが強みでもある。
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 GMOインターネットでは、プロバイダやセキュリティ事業などのインターネットにおける「基盤」となるサービスを手がけてきた。「日本で一番インターネットの普及に尽くしてきたプロバイダ」と自負し、金融も「社会の基盤」と考えたことから、GMOインターネット証券を設立した。

 競合するインターネット証券のシステムといえば、金融システムを主に手がけるSIerに発注して、外部でシステムを構築する企業が多いが、「インターネットビジネスはシステムに依存し、システムを介してユーザーにサービスを提供する。コストを低く抑え、独自性を打ち出して他社との差別化を図るためには、自分たちでシステムを構築するのは当然のこと」(高島秀行社長)と話す。

 同社のインターネット証券のサイトでは、OSSを活用してシステム構築費用を抑え、その分、利用手数料を低く設定した。「金融システムでは新しい技術の導入が遅い」といわれるが、同社はAjaxを活用することでユーザーの利便性を図った。そのほか、「ウェブサービス」というサービス名で、APIを公開することで、ユーザー自身が自由にツールを作って取引に使うことも可能だ。

 通常、会社で何か新しい事業を始める場合、何から手をつけるべきか分からないというケースが多い。だが、高島社長は前職で金融システムに携わってきた経験があり、特にそのような心配はなかったという。そのつながりで、以前一緒に働いていたスタッフを誘い、人員を増やしていった。

 エンジニアは請け負いをやっていた経験から、「期間内にシステムを収めればそれでいいという考え方に陥りがちだが、それではよいシステムができるはずがない」と考えている。「ビジネス構想を持っているスタッフの、『こういうビジネスを展開すれば成功するかもしれない』という声を反映し、企画開発にわたってシステムを作っている」のだという。05年10月から、ごく少ない人数で開発を始め、06年の4月には20人、さらに人数を増やし、現在は32人でサービス提供を行っている。(鍋島蓉子●取材/文)
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