IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>13.コロナセントラルサービス編(上)

2007/08/13 16:18

週刊BCN 2007年08月13日vol.1199掲載

PCでなく携帯電話で部品管理

 石油暖房機器メーカー大手コロナの修理サービス責任会社であるコロナセントラルサービス(岩村純人社長)。営業所は北海道に3拠点、北東北に5拠点を構え、暖房機器業界で国内最大規模のサービス事業を展開している。北国の家庭を支える同社の繁忙期は、冬支度が始まる12月から、暖房機器が間断なく稼働する2月頃までの間。コロナ製品を設置する家庭からはこの時期、電話窓口でピーク時には1日あたり900本以上に応対し、100人弱のサービスマンが車で巡回して修理へと奔走する。

 寒冷地の暖房機器は、他地域の家庭と異なり、壁に給排気管がある火力の大きい10万円以上の大型機器。「使用頻度が高く、部品などの消耗が早く、取り付け、保守、メンテナンスなどの依頼は絶えない」(小阪庄司・専務取締役)。6年前、北東北に拠点を広げた際、増え続ける顧客対応に応えるため、「的確でスピーディーさを追求する」ことを目的に、NTT子会社と地元ITベンダーであるインフォネットに発注し、「CTIシステム」を導入している。

 このシステムは、本社、部品センター、各営業所をネットワークで結び、顧客からの電話着信時にオペレータのパソコン画面に修理履歴や住所などをポップアップする仕組み。これを導入したことで、最大時8人のオペレータ1人当たりの電話応対時間が、1件当たり4分から1分50秒へと短縮したという。しかし、顧客が年々急え続けるなか、C/Sで動くシステム画面の処理スピードに限界が生じる。「とにかく、できる限り早く処理したい」(小阪専務)。ITコーディネータ(ITC)であるインフォネットの佐々木身智子・執行役員は、この切実な要望を受け、解決策を練ることになる。

 小阪専務は「企業の利益を高めるには、労働生産性を上げることに尽きる」と、IT利活用に前向き。実は、「CTIシステム」を導入した際、各サービスマンにパソコンを持たせ、営業状況を管理するシステムも検討した。ただ、「端末が増え管理が重荷になるし、サービスマンはパソコンのキーを叩く時間的余裕もない」ため、いったん断念。2年前、当時のこの構想を含め限界だった「CTIシステム」の検索の高速化と同時に再構築することを決断。当時の実情をよく知るITCの佐々木氏へ依頼した。

 佐々木氏が在籍するインフォネットは、中小企業の経営面の上流工程からコンサルし、適切な地元ITベンダーと共同でシステム構築することを強みとする。「大手SIベンダーは担当者がコロコロ代わる。長いつき合いのなかで、地元ITベンダーなら安価なシステムをつくれる」(佐々木氏)と、Webアプリケーション開発会社スペース(辻好博・代表取締役)を選択。携帯電話と「QRコード」機能を使い部品管理などをトータルに行うシステムを構築した。(谷畑良胤●取材/文)
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