IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>15.RDVシステムズ編(上)

2007/09/03 20:45

週刊BCN 2007年09月03日vol.1201掲載

ネットで需要掘り起こす

 宮城県仙台市に、ビジネス領域の拡大やユーザー企業の増加に向け、インターネットの活用に積極的な企業がある。データ消去サービスを事業の柱に据えるRDVシステムズは、HDDの劣化診断サービス「Dr.ZERO(ドクター・ゼロ)」を今年4月から開始した。

 「Dr.ZERO」は、HDD内の「SMART(スマート)」機能を使ってHDDが劣化しているかどうかを調べられるのが特徴だ。「SMART」は、HDD障害の早期発見や故障の予測を目的としてHDDに搭載されているもので、各種の検査項目をリアルタイムに自己診断、その状態を数値化できる機能。2005年以降に市場投入されたHDDのほとんどに搭載されているといわれている。

 RDVシステムズは、SMARTの機能に加えてHDDの状態を「青(健康)」「黄(要治療)」「赤(要手術)」などといった独自の解析方法で分かりやすく表示できるようにカスタマイズすることで、サービス化を実現した。

 「Dr.ZERO」の利用者として想定しているのがパソコンの個人ユーザーと中小企業。利用者は、同社のサイトからHDD診断ソフトをパソコンに無料でインストール、「診断」ボタンを押すだけでHDDの劣化状況が把握できる。「黄色」や「赤」という診断結果が出た際は、劣化したHDDから新しいHDDへOSごとデータをコピーして交換する換装サービス、劣化したHDDのデータを磁気メディア消去して安全にリサイクルするサービスを有料で用意。最悪の状態ならば、リカバリサービスなどの出張サービス「Onsite ZERO」も有料で利用することができる。異常なしのサイン「青」という結果についても、突然のクラッシュに備えたいユーザーに対しては、会員制サービスの「ZERO Club」を用意。月額1050円の利用料金でHDDが壊れた際の換装サービスやデータリカバリの初期診断などが無料で受けられるようになる。

 「Dr.ZERO」のサービスを開始した理由について、松本敏治代表取締役は「パソコンユーザーによるHDDの換装やデータ消去、バックアップなどのニーズがどれだけあるのか把握するにはインターネットが最適と判断したため」と話す。誰でも利用できる環境にするため、診断サービスを無料、会員制サービスに対して「データへの“保険”として、パソコンユーザーは(外付けHDDの購入など)1万5000円程度のお金をかけるといわれている」ことから、月額1050円に設定したという。ニーズを把握できれば事業柱に据える「Onsite ZERO」の成長路線が描ける。しかも、「需要を掘り起こすことにもつながるのではないか」とみている。

 「Dr.ZERO」の提供に関してITCの上杉廣美・上杉税理士事務所所長は、「企業の成長戦略として、IT化は1つのカギ。積極的な導入が望ましい」と強調する。(佐相彰彦●取材/文)
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