次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>23.沖電気工業(上)

2007/09/17 20:40

週刊BCN 2007年09月17日vol.1203掲載

民間にITSのサービスを提供

 沖電気工業(篠塚勝正社長)は今年4月、自動車を主体とする通信を核にユビキタス社会を実現しようと、「ITSソリューションカンパニー」を設立した。システムソリューションカンパニーのなかで、公共インフラを手がける「交通システム本部」から飛び出した社内ベンチャーだ。

 ITSソリューションカンパニーは、通信を核にしてユビキタス社会を実現するに当たって、自動車を一つの提供形態と考え、ITS(高度道路交通システム)という切り口でソリューションを提供している。

 ITSは最先端の「情報通信技術を使い、人と道路と車を一体のシステム」として考え、交通渋滞や事故のトラブルを解消し、安全性、輸送効率や快適性を向上させることを基本コンセプトとしている。

 沖電気は1980年代からITSに取り組んできた。VICSやETC(自動料金収受システム)の開発などに携わり、旧建設省や旧首都高速道路公団、旧日本道路公団などに納入するなど、公共に対してのビジネスが主体だった。

 そんななか、民間のETC普及が進み、業務用として使用されている自動車のほとんどにETC車載器が搭載されている地域もあるほどだ。

 3年ほど前から民間を顧客としてサービスを提供し始めた。ベンチャーカンパニーとして独立する前は、「交通システム本部のなかで、民間に向けたサービスを細々と提供していた」(ITSソリューションカンパニーの中ノ森賢朗プレジデント)という。

 交通システム本部で提供している売り上げの6-7割は公共インフラであるため、ビジネススタイルはまったく異なってくる。「顧客に提供するうえで、ある程度の先行投資が必要だった」ようだ。

 3年間続けてきて、事業化する体制が整ってきたため、交通システム本部から飛び出し、今年4月に独立した。営業、SEを含め、20人の体制で組織を運営している。

 現在はETCを応用した多岐にわたるシステムの実用化や、また、同社のLocoもびセンターで車両から送られてくるGPS位置・車両データを収集・分析し、情報を提供する交通情報提供サービスなどを提供している。

 ETCを応用したシステムでは、駐車場管理や、ガソリンスタンドの用途などで、ITSを使ったサービスを立ち上げる顧客が増えつつある。市場に火をつけられるかが、目下の目標となっている。
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