次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>24.沖電気工業(下)

2007/09/24 20:40

週刊BCN 2007年09月24日vol.1204掲載

SaaSでの提供も視野に

 沖電気工業(篠塚勝正社長)は、今年4月に民間に対してITS(高度道路交通システム)のソリューションを提供する「ITSソリューションカンパニー」を設置した。

 民間企業がITSを使ったサービスを展開する際の支援を始めて3年が経つ。駐車場管理や、ガソリンスタンドの用途などで、ITSを使ったサービスを立ち上げる顧客が増えつつあるという。

 ITSソリューションカンパニーが主に手がけているのは、ETCを応用したシステムの展開や、ASPによる交通情報提供サービスなどだ。

 応用システムを実用化するに当たっては、無線局の申請やアンテナの設置、メンテナンスなどを沖電気が請け負えば、顧客は「ITSサービスを始めたい」と意思表示すれば済む。

 現在のところ、車が駐車場ゲートを通過した瞬間にCRMシステムと連動して誰が来店したかなどの顧客情報を引き出すソリューションや、月極駐車場の管理システム、工場に資材関係を搬出入する際のゲートシステムなどで実用化が進んでいる。

 販売方法としては、「バックヤードのシステムと機器をセットにした形で、SIerに担いでもらっている」。パートナーはSIerが中心で、20-30社ほどだ。「業種業態ごとに顧客への対応の仕方が異なるので、サービス自体はさまざまな形があって当然。まずはITSを利用して新しいサービスを始めたいという顧客があれば、サポートしていく」(ITSソリューションカンパニーの中ノ森賢朗プレジデント)との姿勢だ。

 また、ASPサービスでは、同社のLocoもびセンターで車に搭載したGPS端末と携帯電話のパケット通信を使って情報を収集し、インターネットを介して位置情報などを提供している。トラック輸送をはじめ、スクールバスや除雪車の運行状況を知ることができるような、生活インフラとしてのニーズがあるのではないかと考えている。

 今後はITSソリューションを「SaaS(サービス型ソフトウェア)」として提供していくほか、プラットフォームをアプリケーションベンダーに提供することでアプリケーションを乗せたいとも考えている。

 まだ、ネットワークにつながっていない車は多い。「現段階では断片的だが、これからユビキタスを作り上げていきたい」と中ノ森氏は構想を語る。

 「この市場は伸び盛りを迎える」とみて、2010年には100億円の売り上げ目標を掲げている。(鍋島蓉子●取材/文)

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