IT Stock Frontline

IPO社数が急減

2007/10/01 16:04

週刊BCN 2007年10月01日vol.1205掲載

上場審査厳格化の影響か

 株式市場の不安定な動きが続くなか、9月のIPO(株式新規公開)は4社にとどまった。近年の9月の新規上場は2006年が15社、05年は14社とラッシュ状態となっていただけに、今年は大きく落ち込むことになる。減少の要因として考えられるのは株式相場の低迷だが、一般的に企業はIPO準備に2-3年かけており、1-2か月の相場低迷でIPOを取りやめるケースはほとんどない。結局、証券取引所による上場審査が厳しくなっていることが影響しているようだ。

 上場間もない企業の業績下方修正が相次いだことで、証券取引所、証券会社は企業の内部管理体制や情報開示体制、業績計画の妥当性などを厳格にチェックしており、上場審査に時間がかかるようになっている。例えば、経常利益が1-2億円程度の小型企業の場合は、利益予想の修正額がわずかでも変化率は大きくなるため、業績計画の達成確度に対する目が一段と厳しくなっているようだ。

 10月のIPOも3社にとどまる。そのなかでソニーの金融子会社であるソニーフィナンシャルホールディングスが10月11日に上場する。市場から2000億円超の資金を吸収する大型案件とあって、他の案件ははじき飛ばされた側面もある。

 年間のIPO社数は06年が188社、05年が158社だったのに対して、今年は120社以下にとどまると観測されている。

 なお、9月のIPOで唯一のIT関連であるリアルコムが19日、東証マザーズに新規上場した。同社はECM(全社情報共有基盤管理)分野の先駆企業。公募価格27万円に対して初値は24万2000円と、9月に上場した4社の初値はすべて公募価格割れという厳しい状況となった。しかし、上場翌日には25万円まで急騰。「IPOは最悪期脱出か」との見方を引き出している。(有賀勝久)
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