IT Stock Frontline

ソニーの金融子会社が人気

2007/10/29 16:04

週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載

中核部門への大型投資が可能に

 今年最大のIPO(株式新規公開)であるソニーフィナンシャルホールディングス(SFH)が10月11日、東証1部に上場した。初値は42万円と公募価格の40万円を上回る順調なスタート。SFHは生命保険、損保、銀行というソニーの金融グループを束ねる持ち株会社。ソニーは保有株売り出しで約3200億円を調達した。

 SFHの順調な上場はいくつかのプラス効果を生み出す。一つはソニーの中核事業である電機部門の成長力強化。ソニーはデジタル家電分野での競争力を高めるべく新製品開発を急いでいる。例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)を使った薄型テレビを世界で初めて製品化、12月には11型テレビを国内で発売する。SFH上場で調達した資金で電機部門の大型投資が可能になった。

 もう一つは株式市場全体への好影響。8月以降の株価波乱のなかでIPOは初値の公募価格割れなど低迷が続いていたが、SFHの順調なスタートでIPOに対する投資家の不安心理が後退することが期待される。

 一方、ソニーはゲーム機「プレイステーション3(プレステ3)」の廉価版を11月に発売する。MPU(超小型演算処理装置)の微細化などでコストを下げ、価格を3万9980円とした。ソニーの2008年3月期はゲーム部門が営業赤字の見通しで、回復への効果が期待される。

 もっとも、ゲーム分野では任天堂の強さばかりが目立つ。「Wii」向けの健康管理ソフト「Wiiフィット」を12月に発売するほか、カプコンは人気ソフトの「モンスターハンター」をWii向けにも発売することになった。また、ネット接続利用者を増やすため、東西のNTTと連携することも明らかにした。株価は10月15日に7万円台に乗せ、時価総額は10兆円を突破した。これはトヨタ自動車、三菱東京UFJ銀行に次いで3位。(有賀勝久)
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