次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>29.日本システムディベロップメント(上)

2007/10/29 20:40

週刊BCN 2007年10月29日vol.1209掲載

長期保有を促す株主優待

 日本システムディベロップメント(NSD、冲中一郎社長)の子会社シェアホルダーズ・リレーションサービス(SRS、今城義和社長)では、インターネットを活用し、「ポイント」を使って好きな商品と交換する株主優待サービス「グッぴー」を06年11月から提供している。NSD社内に新規事業本部を立ち上げ、取り組み始めた事業の第一弾だ。

 きっかけはNSDの外国人株主比率が37%に達していたことにあった。株主保有比率が下がっている状況で、どうすれば個人株主を増やし、長期に保有してもらえるのか株主優待を模索していきインターネットで優待するサービスに辿り着いた。

 考えついたのが、長期保有を促すため株主優待サービスにポイント制を用いることだった。「長期にわたってポイントを繰り越すことができ、株主はポイントに合わせて好きな商品と交換できるようにした」(SRSの小松昭隆取締役営業部長)のが大きな特徴。株主優待のポイント制は同社が初だという。

 苦労したのは、「株主名簿をシステムに利用すること」(小松取締役)だった。ポイントは保有株式数と株式保有年数によって設定される。株主名簿は証券代行が管理していて、株の保有株式数や保有年数などがわかりづらいケースが少なくない。「だいいちに、株主の年齢がわからないため、年代に基づいた商品選定ができない」ことや、本当にデータが正しいのか精査する必要があった。

 証券代行の調査では、簡単な分析レポートがついているが、大まかな株主の年齢層が把握できる程度だったという。「大雑把ではあるが、株主は大体40代以上の男性が多いことが把握できた」ことから、奥さんや娘さんが好みそうなもの、もしくは家族ぐるみで楽しめる商品をそろえた。

 「ポイント制を敷くことで、何かの法に触れないか心配だった。また、株券の保有をポイントに還元するというような馴染みのない制度に反発する株主からクレームがくるかもしれないといったの気がかりもあった」(今城社長)。結果的には「クレームを寄せる株主はほとんどいなかった。新手のサービスに株主は素直に喜んでくれた」そうだ。株主優待サービスが奏功し、個人株主の割合が大きく伸びたことから、今度は優待システムの外販に向けて今年8月、会社組織として「シェアホルダーズ・リレーションサービス」を立ち上げた。(鍋島蓉子●取材/文)
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