次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>43.日立システムアンドサービス(上)

2008/02/18 20:40

週刊BCN 2008年02月18日vol.1223掲載

ソフト品質への意識高まる

 日立システムアンドサービス(中村博行社長)は、昨年2月からソフトウェア品質管理サービス「QualityPro(クオリティプロ)」を提供している。その背景には、品質向上に対する意識が社会的に高まっていることや、トラブル対策費の増加にともなう需要の高まりがある。

 最近起こった、緑の公衆電話が停止した問題。公衆電話は正常に稼働しているかを確認する自己診断用のソフトが組み込まれているが、次回診断日を設定する際、うるう年の処理に不具合が生じたのが原因だそうだ。近年では、携帯電話や自動車など、ソフトの不具合による回収、リコールなどが報道されることが多くなった。品質問題にかかる対策コストは上昇の一途をたどる傾向にある。

 日立システムアンドサービスでは、以前からソフトウェアの品質を重視し、QCD(品質・コスト・納期)をそれぞれ独立した部署が担当している。「例えば、品質は品質だけを見て、金額に関してはタッチしないといった具合」(孫福和彦・デジタルメディアソリューション本部品質管理サービス担当部長)だそうだ。これまでは同社内の品質保証部があくまでも自社製品の品質を検証していた。だが、2000年頃から少しずつではあるが社会的にソフトの「品質」に対する意識が高まりをみせ始め、他社から日立システムにソフトの検証依頼がくるようになった。当時は「どうしても断れないものだけ請け負う形をとっていた」そうだ。

 ここ2-3年で品質向上に対する考え方が広く浸透し、同社はそのタイミングを見計らって、昨年2月に品質管理サービス「QualityPro(クオリティプロ)」を事業化した。

 クオリティプロは、品質管理に対するコンサルティングから、開発現場での検証作業、また、人材の育成までを行うサービス。「前々から上司(橋尾政憲・デジタルメディアソリューション本部デジタルメディア部長)はニーズを汲み取って事業化したいと口にしていた。だが、市場の将来性が不透明なことがネックとなって、具体化するのに時間がかかった」(孫福氏)。06年10-11月から準備を始め、経営幹部の参加する会議で提案を繰り返したが、品質管理サービスは例のないことで、上層部はなかなか首を縦に振らなかった。だが、世の中の動きに後押しされ、昨年、事業化にこぎ着けた。当初はわずか2人からの出発だったが、現在は15人にまで増えた。(鍋島蓉子●取材/文)
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