IT Stock Frontline

東芝、HD-DVDから撤退で急騰

2008/02/25 16:04

週刊BCN 2008年02月25日vol.1224掲載

不振事業からの撤退を好感

 「東芝がHD-DVDから撤退」のニュースを受け、株式市場では東芝の株価が急騰という反応を見せた。東芝はHD-DVD関連で2008年3月期には500億円規模の赤字を見込んでいた。その不振事業から事実上撤退することで、主力の半導体事業に経営資源を集中できる。それに伴いソフトなどの在庫処分に新たな費用が発生することになるが、「潔い撤退で傷口が広がらないとなれば先行きの収益にはプラスで評価できる」(アナリスト)との声が多い。

 ブルーレイ・ディスク陣営のソニーの株価が小幅高にとどまったのに対して東芝の株価が急騰したのは、そうした東芝の決断を評価したものだ。

 また東芝は、携帯電話などの記録媒体として需要が拡大している半導体「NAND型フラッシュメモリ」の新工場を三重県四日市市と岩手県北上市に建設する計画。2工場の新設により生産能力を引き上げ、フラッシュメモリで世界首位の座を目指す。09年3月期中に着工、10年3月期に量産を始める予定だ。

 東芝は現在、四日市市の4工場でフラッシュメモリを生産しているが、間もなく生産能力が上限に達する見通し。既存工場の月産能力約41万枚(300ミリウエハー換算)から、新しい両工場のフル稼働で計80万枚程度に倍増する見込みだ。米メモリ大手のサンディスクと共同で出資し、投資総額は1兆8000億円規模の巨額となるもよう。

 フラッシュメモリは、需要は旺盛ながら価格下落が進んでおり、収益確保に向けて生産能力を増やしコスト削減を図っていく考えだ。

 東芝の株価は昨年7月に1185円の高値をつけた後、株式市場全般の下落のなかで今年1月には692円まで下げていた。「HD-DVDから撤退」を受けて2月19日には840円台に上昇した。(有賀勝久)
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