次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>51.アイティフォー(上)

2008/04/14 20:42

週刊BCN 2008年04月14日vol.1231掲載

テロきっかけに認知度高まる

 アイティフォー(須賀井孝夫社長)は、イスラエルのITベンダー、ナイスシステムズ社のデジタルビデオ自動検知システム「NiceVision(ナイスビジョン)」を販売している。同製品は防犯カメラ・監視カメラ画像を分析・解析して、不法行為を即時に自動検知するシステム。発売時期がたまたまロンドンで発生したテロと同時期であったことから注目を集めた。

 NiceVisionプロジェクト担当課長の武智順氏は2005年当時、CTIシステム事業部の営業推進部に所属していた。CTIシステム事業部では、ナイスシステムズ社の製品を扱っていたことから、「以前から『ナイスビジョン』の存在は知っていた」(同氏)そうだ。

 同製品はグローバルで多くの実績を残していて、空港や、金融機関、軍事基地などにも導入されている。

 自社のソリューションに新しいものを取り入れたいと考えていた同社は、05年1月からリリースまでの半年間、予備調査を行った。まずは、プロモーション活動に頭を悩ませた。ビデオシステムといっても、防犯や監視、はたまたテロ対策など、さまざまな分野に商機を求め、試行錯誤しながらニーズを探していった。他社に身分を隠して、話を聞きに行ったこともあったという。

 予備調査を行った結果、国内市場はまだ成熟していないことがわかった。つまり、伸びる余地があるということだ。

 こうしたプロセスを経て、05年7月6日、「ナイスビジョン」の販売開始をプレスリリースした。01年の米国ニューヨークで起きた9.11テロで世界的にセキュリティに対する意識は格段に高まっていた。おりしも、リリース直後の7日、英国ロンドンで同時多発テロが起こった。この事件がきっかけとなり、「ナイスビジョン」はマスコミに大々的に報道されることとなった。「東京のキー局から、NHK、ローカルテレビまで、報道の盛り上がりにより、一気に認知度が高まった」(武智課長)という。

 05年8月にプロジェクトに参加した粕谷優二郎・NiceVisionプロジェクト部長は、その当時の盛り上がりぶりを振り返る。「国土交通省から誘いを受け、06年1月に国際会議『国際交通セキュリティ大臣会合』で展示を行った。このことで『国がナイスビジョンを担ぐのではないか』という憶測まで飛び出し、当社株式のストップ高が5日間続きました」(粕谷部長)。思わぬ宣伝効果で認知度こそ高めたものの、「そこからなかなか実売には結びつかなかった」と苦笑する。(鍋島蓉子●取材/文)
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