次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>52.アイティフォー(下)

2008/04/21 20:42

週刊BCN 2008年04月21日vol.1232掲載

池田小にもシステムを導入

 アイティフォー(須賀井孝夫社長)が手がけるイスラエルのITベンダー、ナイスシステムズ社のデジタルビデオ自動検知システム「NiceVision(ナイスビジョン)」。市場の予備調査を経て、満を持して発売したその翌日、英国ロンドンで同時多発テロが起こったことから、対策製品として大きく注目を集めた。だが、マスコミ騒ぎはなかなか実売には結びつかなかった。

 日本には、水と安全はタダといった文化があるようで、導入に二の足を踏んだ顧客も多い。映像システムには「備えあっての」という保険の意味合いもあるため、実売に結びつけるのには苦労した。

 そんななか、5年前に凄惨な事件が起きた大阪教育大学附属池田小学校の教頭の目にとまった。同小学校はPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされる関係者も多いなか、本校舎を新改築し、これまでの「開かれた学校」から、センサーシステムなどを導入。外部からの訪問者をできる限り排除する方向に変わっていた。「だが、カラスや木の葉の気配でもアラートが鳴ってしまうようなシステムだった」(粕谷優二郎・Nice Visionプロジェクト部長)ため、誰もが警報に気をとめなくなってしまったという。

 そこで新しいシステムを検討していたところに、タイミングよくアイティフォーが営業をかけ、一気に導入の話が進んでいった。現在では、文教市場や公共事業者など、幅広い業態での導入が進んでいる。

 デジタルビデオ自動検知システム「ナイスビジョン」は入力部分、録画、ビューワが一体になったオールインワンのソリューション。分析アプリケーションがセキュリティ違反を検知した後、録画した映像の分析により、警報が鳴った直前の状況を確認できる。その後、発生事象の管理などを行い、録画ビデオの重要度分析や優先順位をつける。その分析レポートや、統計情報をもとにし、セキュリティ資源の効果的な活用などにつなげていくことができる。アナログカメラはもとより、IPカメラの映像もそのまま録画できる。

 同社では、検知システム以外の活用方法も模索している。「セキュリティ用途に加え、例えば録画画像をPOSデータのようにマーケティングに生かすことも可能ではないか」(武智順・Nice Visionプロジェクト担当課長)。事業を始めて3年目に入るが、売り上げ10億円を目標に、事業部への格上げを目指したいとしている。(鍋島蓉子●取材/文)
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