今度は「健康」をナビゲート

 ヴァル研究所(鈴木和夫社長)は今年4月より、被保険者、健診機関、保健指導機関などを対象に、特定保健指導を効率よく実施するためのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)「健康生活ナビ」を開設している。同社は設立時から「ナビゲーション」系ソフトのシステムやサービスには強いこだわりがあった。

 同社はもともと、誰でもコンピュータでの開発を容易にする簡易言語の研究開発を目指して設立された。1年目には仕様書記述言語の「スペックル・アイ」を開発。ただ「設立したばかりの会社だったために、システムの基幹部分に関わるような製品を出しても、なかなか顧客が採用することはなかった」(岡村隆・ヘルスケア事業部事業部長)と苦笑する。

 PC黎明期の段階でビジネスにも使えそうだと判断、データ処理ソフト「パピルス」「ファラオ」「ナイル」を開発した。バージョンアップするごとにエジプトにちなんだ名前で売り出したソフトは評判となり、「ファラオ」は日経の優秀製品賞を受賞した。

 OSの進化につれ、機能も増え開発の自由度も高くなっていったが、その反面、操作が難解になっていった。また、Windowsが日本で発売された直後などには、OS操作の理解も進んでいなかった。そのためだんだんと開発続行が難しくなり、最終的には販売を終了した。

 その間に、後に同社を代表する「駅すぱあと」が誕生した。同ソフトもナビゲーション型で、ユーザーが「目的地に行くにはどうすれば良いか」を誘導するものだ。このように、同社は徹底してナビゲーションバリューの追求にこだわってきた。

 そうした「ナビゲーション」の概念をさらに広く捉えて、新たな事業の柱として立ち上げたのがヘルスケア事業部だ。5-6年前から少しずつ事業展開を図ってきた。

 自己採血型・在宅血液検査キットを販売する医療関係のベンチャー企業「リージャー」に出資したことが事業立ち上げのきっかけになった。

 「今度は一人ひとりの健康をナビゲーションしようと思い至った」と岡村部長は語る。必要な情報をどのように提供すれば、ユーザーに喜んでもらえるかを検討した結果、当時普及しつつあったSNSに着目した。SNSという場は「それに参加する友人や家族と、一緒に助け合いながら健康を維持する」には最適の環境だった。(鍋島蓉子●取材/文)