食品・酒類の卸売り国内最大手の国分(國分勘兵衛会長兼社長)は、EDI(電子データ交換)の積極的な活用によって、情報システム運用の効率化に努めている。EDIの処理を一元的に管理し、基幹業務システムと完全に分けることで、システム全体の開発・運用コストを抑制。取引先によって異なる場合があるEDI方式の違いを柔軟に吸収するとともに、次世代EDI規格「流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)」にも対応できる体制づくりを急ぐ。(安藤章司●取材/文)

EDIを積極活用 基幹業務を効率運用

 メーカーと小売業の中間に位置する卸売業は、双方のEDIプロトコルの差異に対応し、迅速な流通サービスを提供することが求められる。

 国分では、早くからEDIの改善に取り組んできた。1997年にEDIベンダーのエヌアイシー・インフォトレード(NI+Cインフォトレード、野村雅行社長)の「EDIPACK21(エディパック21)」シリーズを採用。EDI部分を基幹業務システムから切り離し、EDIの手直しが発生しても、基幹業務システムへの影響を最小限にとどめる仕組みを構築した。

 EDIには、1980年代からJCA手順などいくつかの規格がある。だが、実際は取引先によってデータ構成の差異がどうしても出てしまう。国分はビジネスを拡大させるために、常に新しい仕入先や二次卸先を開拓している。このため、EDI部分は頻繁に手直しが発生する。情報システム部へのシステム更改の依頼は月間平均で200件ほどきており、このうちEDI絡みが6-7割を占めるほどだ。

 その対策として、変動が大きいEDIをEDIPACK21に集約。「基幹業務部分の手直しを極力少なくした」(国分の阿部興人・情報システム部兼物流統括部物流システム担当副部長)ことで、情報システム全体の運用効率を大幅に高めた。

 国分の基幹業務システムは、卸の根幹である物流系や営業支援などの情報系、財務会計系など複数系統に分かれており、かつ全国200か所ある営業・物流拠点をカバーする大規模なものだ。EDIの内側には、さらにフィルタリングシステムを置いてデータの整合性を向上。取引先のデータフォーマットの変化をEDIやフィルタリングなどフロントエンド部分で一括して吸収することで、基幹業務システムへの負荷軽減に努める。

 現行のEDIPACK21は、06年に導入した3世代目。ハードウェアは日本IBMのUNIXサーバー「System p」シリーズ(現Power Systems)である。ミドルウェアはアプリケーションサーバー「WebSphere(ウェブスフィア)」の構成で、「きわめて安定したシステム」(阿部副部長)と、大きなトラブルを起こさない堅牢さを高く評価している。

 EDIは、日常的に変更や改変を余儀なくされる一方で、いったんシステム障害が起こるとすべての取り引きが停止する危険性がある。経営の根幹を揺るがす深刻な事態が発生するミッションクリティカルな部分だ。さらに今、流通業界は、国際的にオープンなフォーマットであるXMLをベースとした次世代EDI規格「流通BMS」への移行に向けて、大きな過渡期にあることを考えると、拡張性と堅牢性を兼ね備えたシステム構成が不可欠である。国分においても流通BMSへの対応準備を着々と進める。

 次回は、流通業界でこれから必要とされるEDIシステムの在り方、SIer・ISVの付加価値をどこに求めるべきなのかを検証する。