IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手
<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>60.「IT経営力大賞」シリーズ フジ矢(下)
2008/09/15 16:40
週刊BCN 2008年09月15日vol.1251掲載
“三位一体”が成功のカギ
ペンチ・ニッパ製造の老舗企業であるフジ矢がIT化を含めた経営革新に乗り出したのは2001年10月。担当ITコーディネータの川端一輝・ITC-Labo.理事長は、まず経営戦略の策定から始めた。「社長の熱意を経営戦略につなげる」がコンセプト。野崎恭伸・フジ矢社長の積極的な姿勢に共感したためだ。だが、経営者の考えを一方的に全社に押し付ける「トップダウン方式」は社員の士気をそぐ恐れもある。そこで、「ボトムアップ」にもっていく狙いで、戦略策定会議には経営幹部を含めて多くの社員を参加させる方法をとった。これにより打ち立てた中期経営計画は、「5年後に売上高2倍、経常利益率10%、在庫30%削減」という内容。野崎社長は、「当時の業績を考えると高すぎる目標だったかもしれない」と言うが、「社員が会社の状況を把握し、業績向上の意欲を持ってくれたので、必ず実現できると確信した」と目を細める。ボトムアップ施策の一環として、社内の情報をすべてオープンにした。全社員に経営参画の意識を持ってもらうため、年2回のペースで経営方針発表会も開催するようになった。
全社的に進む方向性が固まった段階でIT化に着手。業務プロセスの改善に向け、販売予測を含めた生産管理システム導入を検討し、候補ベンダーのなかからソランが選ばれた。

フジ矢のIT化が成功したのは、同社自身が変革を遂げようとしていたことが要因の一つとしてあげられる。それだけではなく、ユーザー企業とITコーディネータ、ベンダーが一つの目標に対して足並みを揃えたことが大きい。フジ矢は次のステップとして、「マーケティング分野のIT化」を計画している。
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