総合建築設計会社の久米設計は、IBM製「Lotus」ブランドのコミュニケーションソフト「Lotus Sametime」とヤマハ製ウェブ会議用スピーカー「PJP-25UR」の連携システムを導入し、コミュニケーションの変革に成果をあげている。複数拠点間の遠隔会議を行うことで出張を減らしただけでなく、思いついたアイデアを各拠点のスタッフと迅速に打ち合わせし、創造性を高めることができるようになった。(佐相彰彦●取材/文)

コミュニケーションの変革

複数拠点での遠隔会議を実現


 久米設計が導入した遠隔会議システムは、「Lotus Sametime」と「PJP-25UR」の機能を最大限に生かしたもの。資料を共有しながら多地点・多人数で話し合えることが最大のメリットだ。建築設計関連の会議には、一般的に使われる「Excel」や「PowerPoint」に加え、敷地写真や設計図面、意匠デザイン、模型など多くの資料を要する。このようなデータを複数拠点でしかも多人数で共有しながら双方向での議論を進めることができる。佐藤良志則・情報・研修センター主管は、「予想以上に効果があがっている」と評価する。

 遠隔会議の効果として挙げられるのは業務効率化だ。同社は、東京本社を含め全国9か所に支社事業所を持つ。そのため、会議の大小にかかわらず拠点連携のプロジェクト会議では1か所に集まって議論しなければならなかった。「会議のたびに出張するのは、時間のロスとコストが生じる」と実状を話すのは南部真・設計本部設計部長。各スタッフは、一つのプロジェクトだけを担当しているとは限らない。特定のプロジェクトに時間を集中するというのは会社全体に悪影響を及ぼす可能性もあるということだ。とはいえ、拠点連携のプロジェクトともなれば、どうしても資料をベースに細部まで話し合わなければならない。こうしたジレンマを遠隔会議システムが解消したわけだ。設置した拠点は、現段階で本社と支社を中心に6か所となっている。

 また、「各スタッフが頭の中で描いたイメージを迅速に話し合えることも創造性という点では大きなメリット」(南部設計部長)と捉えている。建築設計には、独創性を必要とする部分が多い。最適なアイデアは一瞬に閃くケースもある。その際、プロジェクト参加のスタッフと気軽に打ち合わせできれば、頭に浮かんだものを設計図などで形として表現できる可能性が高い。「建築設計では、コミュニケーションを頻繁に行える環境を整えることが優れた成果物を生み出すカギとなる」と、南部設計部長は強調する。

 同社は、一級建築士や建築構造士、建築設備士、技術士、工学博士などの分野で専門スタッフを揃えており、建築に関するさまざまな事業領域で多くの実績を持つ。建築関連の“トータル・ソリューション・ファーム”を掲げ、業界では名を馳せている。その同社が次のステップを見据え、変革に踏み切ったのが「会議」というわけだ。遠隔会議システムを導入した理由は、あくまでもコミュニケーション強化を図ることによる設計品質の向上を目的としている。さらに、導入したことで「出張費用の削減」(南部設計部長)といった実際の大きなコスト面での導入効果も現れているようだ。