PBRが1倍を割り込む

 恐慌突入を思わせるかのような急落を見せる株価。日経平均は9月中旬からの1か月で30%強下落した。米国発の金融不安が欧州にも広がり、投資家がリスク資産である株式から資金を引き揚げているのが世界同時株安の背景。国内でも株価下落により消費減退という“逆資産効果”が懸念されるうえ、円高による輸出企業の業績下方修正など、経済環境は悪化をたどっている。

 もっとも、現時点での売りの中心は株価の水準に関係なく換金を急いでいるヘッジファンドなど。そうした売りが一巡すれば日本株の割安さに目が向こう。日本株は明らかに異常な水準まで売られている。東証1部平均でPER(株価収益率)は11倍台、配当利回りは2.3%台と、ともに30余年ぶりという歴史的な低水準。これらは企業収益が悪化して1株利益が低下、また減配となれば利回りが下がるため、この数字は理解できなくもないが、注目したいのはPBR(株価純資産倍率)が0.98倍と1倍を割り込んでいること。株価が1株あたり純資産を割り込んでいるということは、企業の解散価値を下回るという異常な状態にある。

 例えば、ソニーの株価は1月の高値6300円に対して10月17日には2300円台まで下落。PBRは0.67倍まで低下している。連結ベースの売上高の約8割は海外が占め、欧米などの景気後退の影響や円高によって業績は悪化するとはいえ、明らかに株価は売られ過ぎ。海外ファンドの換金売り、悲観による個人投資家の狼狽売りが殺到していると推測される。

 業績悪化に対する投資家の不安心理を裏付けたのがシャープの株価急落。携帯電話の販売不振などから2009年3月期の営業利益が前期比30%減に落ち込むと発表したことから売りが殺到。株価は700円台と10年ぶりの安値水準に下落した。昨年4月の高値は2400円台だった。(有賀勝久)