IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>96.「IT経営力大賞」シリーズ・第二弾 中部土木(下)

2009/06/15 16:40

週刊BCN 2009年06月15日vol.1288掲載

成功のカギは“オープン”にある

 道路や水道、河川工事などの土木事業を主力とする中部土木は、業界標準のXMLをベースとしたEDI(電子データ交換)を採用した。共通XML/EDI実用化推進協議会(COXEC)が運営する共通プラットフォームに接続することで、同社との取引がある約100社のビジネスパートナーとのEDI接続を促進する戦略である。COXEC対応のXML/EDIが稼働したのは2008年3月。システム構築は、NPO法人の建築市場研究会のEDI勉強会がきっかけで知り合った東京のハルシステム設計に依頼した。

 システム導入で苦労したのは、EDIに対する理解の促進だった。EDIを入れても、それによって受注が増える保証はない。現状でそこそこうまくいっているのだから、その仕組みを変えるには、「まず現場の意識から変えなければならない」と、中部土木のCIOの役割を担う原田泰典・総務部次長は話す。土木事業は、専門技術を持った多くのビジネスパートナーの存在があって初めて成り立つ。こうした協力会社との受発注業務にかかる書類は膨らみがちで、この部分を簡素化、電子化することで業務が大幅に効率化される。まずは「こうした業務効率化の必要性を理解してもらう」(同)ところから着手した。

 COXECの公開された仕様であるXML/EDIプラットフォームを使うことで、特定のITベンダーや事業者に依存したシステムを導入しなくて済む。さらに第三者の立場で、経営とITの専門家である水口和美ITコーディネータにシステム全般のコーディネートを依頼したことで、「客観的な視点での評価が得られた」(難波陽一副社長)こともプラスに働いた。稼働開始から1年が経過した09年4月時点では、協力会社のうち約2割がCOXECベースのEDIで結ばれており、「まずまずの進捗状況」(同)と胸をなでおろす。

 中部土木や特定のITベンダーの独自EDIを取引先に押しつけるのではなく、オープンなプラットフォームを使うことで協力会社の負担を軽減。かねてからの公共投資の削減に加え、今般の大型不況の到来で、建設業界でもより一段と厳しいコスト削減が求められる。こうしたなか、EDIを活用した業務効率化に道筋をつけた。さらに、COXECベースのEDI導入を機に、自社内の基幹業務システムも刷新。原価計算と財務会計を入れ替え、EDIデータと直接連携できるようつくり直した。

 EDIや基幹業務システムの入れ替えで約7000万円の投資を要したが、EDIの本格的な活用による効率化で、早期の回収を見込む。COXECのXML/EDIは、ASP方式で提供されるため、ソフトウェアはオンラインで自動的に改修される。使い勝手の改善も進んでいることから、中部土木では向こう1~2年で協力会社の社数ベースで5割、取引件数ベースでは7~8割をEDI化できると手応えを感じている。
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