解剖!メーカー流通網

<解剖!メーカー流通網>32.ネットスイート SaaS型ERPで販路を拡大

2009/09/18 20:45

週刊BCN 2009年09月21日vol.1301掲載

ライバルの追い上げ狙う

 SaaS/クラウド型でERP(統合基幹業務システム)サービスを提供するネットスイート(田村元社長)が、販路をじわりと拡大している。今年8月に富士通、富士通ビジネスシステム(FJB)と業務提携。中堅・中小企業をメインターゲットとするネットスイートは、同じく中堅・中小領域に強いFJBと水面下で交渉を続けてきた経緯があり、ようやく富士通本体も含めた提携にこぎ着けた。

 2006年4月の日本法人の立ち上げ時には、トランスコスモスといち早く提携。翌年にはミロク情報サービスと資本提携するなど順調な滑り出しをみせた。しかし、ERPの特性から商談が長引く傾向が続き、国内では一部苦戦を強いられる。同じSaaS/クラウド型で競り合うセールスフォース・ドットコムはCRM(顧客情報管理)で次々と大型案件の受注を決めており、どう追い上げるかが課題になっていた。

 今年8月にネットスイート日本法人のトップに就任した田村元社長は、「営業支援系のシステムと異なり、ERPは立ち上がりまで時間がかかる」と、SaaS/クラウド型はまずフロントオフィス系が先に普及し、次いで基幹系に商談の主戦場が移ると分析。富士通やFJBとの大型提携を足がかりに、ERP領域での巻き返しを狙う。基幹業務システムのSaaS/クラウド化は、ほぼ手つかずの未開拓市場。成長の余地は大きく、粘り強く攻めていく方針を打ち出す。

 ビジネスパートナーには、ウイングアークテクノロジーズなどISV系のパートナーも少なくない。サービスのマッシュアップによるサービス内容の充実が期待される分野だ。ウイングアークは、SaaS/クラウドに対応したNTTデータビズインテグラルのERPサービス「Biz∫(ビズインテグラル)」にも商材を提供。サービス型のERPは、ウイングアークのような業務ソフト系のISVにとっても、今後、有望なビジネスパートナーになりそうだ。(安藤章司)

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