地場有力ITベンダー 未来を語る

【佐賀県】佐賀電算センター 地場企業との共存共栄

2009/10/09 20:42

週刊BCN 2009年09月21日vol.1301掲載

 「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を数えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。最終回となる第4弾をお届けする。  地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか──。

下村宗治 専務取締役
 佐賀県は市町村の数も地場企業の数も少ない。当社では県内の案件は自治体、民間とすべて手がけているが、こうした理由から必然的に県外にビジネスを広げるしかなかった。自治体向けパッケージは全国展開し、一般企業については案件があれば何でもやるというスタンスで取り組んでいる。

 そのなかでも当社が強みとしているのが、医薬品、福祉、流通業向けソリューションだ。これらはすべて独自に開発した。医薬品分野では、調剤薬局を対象に受注や在庫などを管理するシステムを全国に展開している。福祉分野では、当社が障害者手帳の交付事務システムをつくっていたこともあって、介護事業者の管理システムも手がけるようになった。このシステムは、40都道府県で採用された実績がある。

 自治体の案件では、業務システムなどの一般的なソリューションは大手ベンダーなどとの競争が激しく、受注することはなかなか難しい。そこで、競争相手が少ない福祉関連のシステムに着目し、導入が容易でわかりやすい福祉介護の事務処理システムを独自に開発した。まず佐賀県で実績をつくり、全国に展開していった。

 福祉ソリューションは、1案件の受注金額は大きくない。しかし、システム維持管理費などの収入もあり、当社にとっては非常に魅力的なビジネス。現在では年間で1~2億円の粗利益を獲得している。

 流通向けには、リベートや業者を管理するシステムを販売している。こちらはメーカーやSIerに担いでもらって販売しているが、コジマやマツモトキヨシなどに採用されている。

代表者…宮地大治 代表取締役社長
売上高…30億6000万円
利益率…1億4000万円(営業利益)
主要顧客…佐賀県をはじめとする自治体、
地場企業、流通など
ハードとソフトの比率…3:7
県内・県外比率…5:5
 当社の独自ソリューションのアイデアはすべて地場企業とのビジネスのなかから生まれた。だから、地元企業を大切にしていきたいと思っている。地元企業の案件は、ある程度の金額が見込めれば利益を二の次で対応する考えだ。

 県内では当社が基幹システムなどを納品していた大手ガソリン卸が倒産するなど、基盤企業が減っている。こうした動向をみると地場企業との「共存共栄」が必要だと実感している。
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外部リンク

佐賀電算センター=http://www.sdcns.co.jp/