ホームページが功を奏する

 兵庫県養父市で精肉店を経営する平山牛舗(平山敏明代表取締役)は、自社ホームページの立ち上げをきっかけに、取引先や一般消費者の来店が増加したという効果が現れた。質の高い商品を広めるため、IT化が功を奏したのだ。

 ホームページを立ち上げたのは5年ほど前。「遠方から訪れていただくお客さまに、ホームページの地図で分かりやすく道案内したかったから」と、平山代表取締役の夫人でウェブ制作を担当する久美子さんは立ち上げた理由を語る。

 店の評判が口コミで広がり、大阪や神戸などから電話で問い合わせてくるお客さまが多くなった。その際に、口頭で説明しても、道順を理解してもらえないことが少なくなかった。奥まった場所に店舗を構えているからだ。交通アクセスのページには、和田山方面からと豊岡方面からのルートの2種類を用意。単に地図を載せるだけでなく、要所要所の写真を織り交ぜて道案内するコンテンツに仕上げた。写真撮影は久美子さんが担当した。これにより、新規の来店者が増えたというわけだ。

 また、ホームページを立ち上げたことは、卸事業の拡大にもつながった。同社は、流通業者や小売店などに精肉を提供しており、レストランや旅館、スーパーなど取引業者が増えたという。小売業界は厳しい状況が続いている。とくに食品関連は、淘汰が進んでいるといわれている。そんななかでも「取引先が減ったことはない」と平山代表取締役。新規の取引先はホームページを閲覧して問い合わせてきたという。

 平山牛舗のホームページは、店舗紹介をはじめ、販売している商品や牛肉を使った料理などを掲載している。道案内と同様に、写真撮影や文章など久美子さんがすべて制作した。「素人だから、あまり見映えは良くないかも」というものの、逆に手作り感が消費者の心に響いたようだ。とくにスタッフ紹介のページでは、一人ひとりの写真や自己紹介を掲載しており、アットホームな雰囲気が漂っている。この社風が平山牛舗の持ち味で、先代から受け継がれたもの。他社のホームページと比べれば独自性には乏しいものの、「当社らしさを出したホームページを作りたい」(久美子さん)との考えに基づいて立ち上げた。

 宇田マネジメント代表取締役でITコーディネータの宇田名保美氏は、10年前に中小企業診断士の立場で平山牛舗を訪れた。その後、何度か訪れているうちに、「平山牛舗さんがホームページを立ち上げて店をアピールしているので、アドバイスしてあげたい」と感じたそうだ。そこで、ホームページのコンテンツとして、養父市の歴史や景色などを掲載することでユーザーが観光目的で訪れることを促進するように提案したという。また、「平山牛舗さんが販売している商品を世に広めたい」と考え、コンサルティングを含めたITを活用した経営革新を試行錯誤する日々が始まった。(つづく)

平山牛舗はアットホームな雰囲気なのが持ち味だ(右は平山敏明代表取締役、左はウェブ制作担当の平山久美子夫人)