コンピューターを使い始めた時の画面を覚えていますか? 私の場合は、中学生の時に友達の兄が持っていたシャープMZ80Kだった。懐しきグリーンのCRTディスプレイにキーボードだけ。ユーザーインタフェース(UI)はすべてキャラクター、いわゆるキャラクターユーザーインタフェース(CUI)だった。今はグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)が全盛。でもCUIは生き残り、新しいアプローチが現れている。

コマンドラインは素晴らしい!

 私は普段、Linuxを使用している。GUIが標準のWindowsとは異なり、LinuxではコマンドラインのカーネルとGUIのXウィンドウが分離し、CUIとGUIのどちらを使うかを選択できる。実際、Linuxを黎明期から使っていた人たちにはCUIファンが多く、GUIだと何をやっているか分からず不安さえ感じてしまう。

 メールやウェブでもLinuxにはコマンドライン用のツールが豊富に揃い、エディターのemacsを愛用するイーマクシアン(emacsean)と呼ばれる人たちなら、emacsの中だけですべてを実行してしまう。これらのCUIを好む人たちは、キーボードから一切手を離さずにすべての操作を行なうことができる。つまり、CUIのほうが、いちいちマウスで切り替えるより作業が早いからだ。例えば、文章を書きながら訳語が知りたくなって、単語をマウスで選択して右クリックから翻訳を見るのではなく、同じことがコマンドラインからできたら、思考は中断されず非常に効率的だと思いませんか?

コマンドライン付のGnome Doが提供する、Mac DockにそっくりなDocky

 

UbiquityコマンドからGoogle Maps地図を作成してメールに挿入


GUI上でもコマンドライン

 もちろん、GUIとマウスが全盛の時代だということは承知している。ただ、効率を考えるとCUIは際立っている。そこで、GUIにコマンドラインのCUIを乗せて使うツールが登場することとなった。LinuxならばGnome Do、MacならQuickSilverなどがそれだ。例えば、アプリケーションを立ち上げたい時、Windowsならクイックローンチか、スタートメニューから起動することになる。

 一方、LinuxならホットキーでGnome Doを呼び出し、アプリケーションの名前を数文字入力すると、インクリメンタルサーチのようにように自動的に絞り込みながら候補が出てくる。また、オプション設定のファイルにチェックを入れておくと、同じように、ファイル名の先頭数文字を入れるだけでフォルダを開くことができる。そのほかにもさまざまなオプションがあって、一度使うと手放せなくなってしまう。Windowsには、残念ながらこの手のツールは見当たらない。さらに、Mozilla Labsが提供するUbiquityは、ブラウザ上に簡単なCUIをプラグインで乗せ、より効率的な操作ができるようになっている。このプラグインは近い将来、Firefoxに統合、そしてThunder birdにも搭載が計画されている。

 こう考えてくると、UIとはいったい何なのか?

 最近発売されたWindows 7の目玉の一つが、タッチパネルによる新しいUIである。しかし、これが意外と使いにくいと感じた人は多いはず。ちょっとゲームをしたり、特別な環境では確かに便利。しかし、何かの作業に没頭する場合には向かない。CUIファンからみれば、選択肢を増やすだけでなく、本当に作業効率を上げてくれるUI革命をユーザーは望んでいると断言できる。

【著者紹介】
大田 弘
 米国シリコンバレー在住。ABOOM LLC社CEO。ERP導入からインテリジェントツールの開発まで企業基幹システム構築を手がける。渡米以前はタイ国で教鞭を取っていた経歴をもつ。Linuxガジェットには、目がない。家族(妻と娘)第一を信条とするプログラマ。