IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>8.マイム(下) 戦略的活用を見据える

2010/12/16 16:04

週刊BCN 2010年12月13日vol.1362掲載

 貸衣装事業を展開するマイム(田中延和社長)にとって、卒業式は最も重要なイベントとなる。卒業式用貸衣装の受注が本格化する9月下旬を見据え、2009年2月にシステム環境の構築に着手。同年10月に予約管理システムの本格稼働にこぎ着けた。

 田中社長は「システムインテグレータ(SIer)の選定にあたって、ITコーディネータ(ITC)の存在は大きかった。とはいえ、卒業式関連の貸衣装ビジネスをSIerに理解してもらうことが難しかった」と、苦労の一端を語る。

 東京本社のほか、前橋や心斎橋、札幌など全国各地に支店を構える同社は、システムがネットワーク対応となったことで、リアルタイムに情報取得・共有ができるようになった。「かつては、本社で出力した書類を各支店に送っていた」(管理本部の澤口賢治氏)頃と比べると、用紙などのコストを大幅に削減することができた。

 「以前は、多くいた年配の従業員がIT活用に抵抗感をもっていた」。田中社長はこう振り返る。だが、09年当時は女性を中心に新卒入社の若手が増えており、新システムを受け入れる素地ができていたという。

 新システムの導入で、作業時間の削減、すなわち業務の効率化を図ることができた。(1)画像付き衣装登録(2)予約確認と来場案内のメール配信(3)予約会場への商品発送(4)スタッフのスケジュール管理(5)予約状況や売り上げ実績の照会・分析機能(6)卒業袴の予約登録作業の六つが大きな改善ポイントだ。システム構築は、東京IT経営センターのパートナーによって進められた。

 例えば、カメラ付きPDAと携帯プリンタを使用して衣装登録の負担を軽減したり、バーコード管理で配送管理を効率化したりすることが可能となっている。

 導入後、具体的な効果測定はしていないが、田中社長は「繁忙期でも従業員の残業時間が減った」と実感している。

 現在は、予約管理システムの利用による業務効率化が先行しているが、「もっと戦略的に生かせるようにしたい」(田中社長)と考えている。林田ITCは「これまでは売り上げが右肩上がりで伸びてきたから問題にはなっていないが、部門別の利益を把握することが重要になってきている」と指摘する。(信澤健太)

袴・振袖が並ぶ
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