IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>13.大和(上) 「ノープランから始まった」

2011/01/27 16:04

週刊BCN 2011年01月24日vol.1367掲載

 長野県安曇野市に本社を構える大和(荒井博社長)は、結婚式や仏事といった冠婚葬祭などのお返しギフト、記念品の製作・販売を手がけている。

 新たに、香典返し専門サイトである「おこころざし.com」を開設し、eコマース事業に本腰を入れて取り組み始めた。ガラス器の卸売りからスタートした同社の直近の売上高は110億円(2010年6月期)で、このうち仏事関係の事業が売り上げの約30%を占める。

 仏事関係の事業を統括する木村教之・東京支店第3営業部部長は「数年前から eコマース事業に取り組もうという話がもち上がっていたが、誰がやるのか、という問題に直面して前へ進めなかった」と説明する。

 木村部長自身も「ネットのことはさっぱりわからない」というお手上げの状況だった。そんな状況を打開するきっかけとなったのは、まったくの偶然だった。大和の上西義郎・営業本部ディレクターは、親交のあったイーノウハウの明瀬隆郎CEOと新幹線でたまたま隣り合わせの席に座ることとなった。

 その際に大和が検討しているeコマース事業について意見を交わし、流通・営業コンサルティングで実績がある明瀬CEOが事業の立ち上げを支援することとなった。以後、イーノウハウは一貫して「おこころざし.com」の構築、コンサルティングに携わっている。

 今回の事業について声を掛けられたITコーディネータ(ITC)の天川龍介氏は、明瀬CEOと17年来の親交がある人物だ。「2回目の打ち合わせの時に、いきなり大和の従業員を前にeコマースについて話すことを促された」と苦笑いする。

 「ノープランから始まった」(明瀬CEO)というECプロジェクトは、あえて型に嵌めず、メンバーから挙げられるアイデアに柔軟に対応できるようにすることを心がけたそうだ。2010年4月からは毎月3回の会議の場を設け、インターネットをメディアとして直接販売する新事業の在り方を模索した。当初は、ギフトの総合サイトの開設が最終ゴールだったが、まず第一弾として「おこころざし.com」の構築に着手した。(つづく)(信澤健太)

(左から)イーノウハウの明瀬氏、ITCの天川氏、大和の木村氏、森氏
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外部リンク

「おこころざし.com」=https://www.okokorozashi.com/