最近のスマートフォンに搭載されるプロセッサの性能には度肝を抜かれることが多い。HTCの次期Androidスマートフォンは、クアッドコア2.5GHzのCPUを搭載するという噂だ。Android 3.0からはマルチコア対応となり、アプリが対応していれば、デスクトップPC顔負けの処理スピードを堪能することができる時代になってしまった。

 レイヤを上に移すと、VMwareが提供する「VMware Horizon Mobile」はモバイルとクラウドの世界に新たな衝撃を走らせた。Androidスマートフォンを仮想化し、1台のスマートフォン上にメモリエリアも完全に区分された2台分の電話番号とアカウントをもてるソリューションである。当初、LG製品のみが対応していたが、サムスン電子も対応を表明し、今後スマートフォンの世界ではそれがあたりまえとなってくる日も近いだろう。ビジネスユースと個人ユースが混在するBYOD(個人所有デバイスの会社への持ち込み)の時代においては、MDMでの対応以外にもこうしたソリューションを活用することで企業への導入が加速すると考えられる。デスクトップPCやサーバーの仮想化が喧伝されるなか、すでにモバイルでも仮想化の火ぶたは切って落とされている。さらに上位のレイヤでは、マーケットプレイスの林立で豊富なモバイルアプリが増殖し、ユーザーの選択肢は激増した。

 ここで、一つだけ不思議なことがある。なぜもっとモバイルアプリのプリインストールに取り組まないか、だ。

 マーケットプレイスを運用するプラットフォーマーやプロバイダ側のさまざまな制約もあるかもしれないが、もっと工夫すべきではないかと思う。思い起こしてほしい。PCのビジネスでは初心者向けにさまざまなソフトウェアをプリインストールすることで、買ってきてすぐに使うことができ、わからないことはヤフーで調べるという行動特性を日本市場に広げた。それと同じように、プリインストールで業種・職種やリテラシーレベルに合わせたアプリケーションをパッケージにしてスマートフォンにもっとプリインストールすべきなのだ。そうしなければ、スマートフォン市場のすそ野が広がらないし、店頭での対応時間もクレームも増大することになる。

 低価格化・端末の多様化・クラウド化といったデスクトップPCで起こったことはモバイルでも必ず起こる。ビジネスチャンスはいくらでも存在する。