シャープが先導する「グリーン調達」 それを支えるeBASEのフリーミアム

<シャープが先導する「グリーン調達」>第4回 サプライヤーに対する啓発と支援 含有化学物質パートナーシッププログラムを展開

2012/04/26 20:29

週刊BCN 2012年04月23日vol.1429掲載

 「REACH規則」は2006年12月30日に制定された。この規制への対応を契機として、シャープは含有化学物質管理体制を強化。これまでに、部材調達先(サプライヤー)から得る含有化学物質情報の収集システムと製品や拠点ごとの含有化学物質量を集計するシステムの構築を進めてきた。

 シャープに限ったことではないが、環境負荷削減とコンプライアンスを確実に履行するためには、サプライチェーン(SC)を通じた含有化学物質情報などの収集体制の整備が急務だ。体制構築の具現化に向けて、同社はサプライヤーが実践すべき事項の周知徹底と情報収集体制構築に必要なITツールを提供。さらには、「その体制の適正運用を担保するために監査をパッケージにした新たなスキーム『グローバル・グリーン・サプライチェーン(GGSC)』の構築を目指してきた」と、清水正雄・SCIC(中国統轄会社)環境推進統轄兼 グリーンSC推進室長は振り返る。長年の取り組みで、一定の方向性を見出すことができたというわけだ。このGGSCをサプライヤーと一緒に推進するため、シャープは「サプライヤーが直面する課題を解決し、強固なSCの基盤を迅速かつ的確に構築する」(清水統轄)ため、昨年から「含有化学物質パートナーシッププログラム」を開始。この一環として、SC構築に必要なツールとして導入したのが、eBASEの含有化学物質情報管理データベースシステム「GREEN eBASE」だ。

 ただ、シャープが展開するプログラムの特筆すべき点は、「化学物質を管理するための情報ツールやその使い方、シートの入力方法を学習することだけではない」(清水統轄)というように、サプライヤー向けに「GREEN eBASE」の無償ソフトウェア「eBASEjr」の導入にとどまらず、啓発・支援プログラムを整備したことだ。

 それが、eBASEの協力を得て構築した、サプライヤーが実践すべき事柄を周知徹底するポータルサイト「GREEN Cloud Concierge Counter(GCCC)」である。シャープはこのGCCCなどを通じて、「化学物質管理とは何か」を伝えている。具体的には、サプライヤー向けに化学物質管理の法規制やバイヤー(シャープなど)の化学物質管理方針に関するウェブセミナーを開催したり、デジタルライブラリーを提供したりしている。それによって、サプライヤー側の管理方針や基準、管理手法や実際の化学物質の情報伝達に関する知識を段階に応じて構築することを目指している。(谷畑良胤)

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外部リンク

シャープ=http://www.sharp.co.jp/

eBASE=http://www.ebase.co.jp/

「GREEN Cloud Concierge Counter(GCCC)」=http://gccc.ebase-jp.com/