「世界最先端IT国家創造宣言」のなかで、具体的な施策としてトップに掲げられたのが、公共データの民間開放、いわゆる「オープンデータ」の推進だ。経済産業省の資料によれば、1.5兆円の公共データ活用サービス市場の創出と、5.5兆円の経済波及効果が期待できるという。こうした巨大な数字が独り歩きしている感があるものの、多くのITベンダーは、ビジネスチャンスを広げる施策として注目している。
全府省庁でデータカタログサイトを整備
公共データを公開するという施策の性質上、すべての府省庁が取り組みの主体となる。当面目標とする到達点は、政府・中央省庁、独立行政法人、地方公共団体などがもっている多様で膨大なデータを、機械判読に適したデータ形式でインターネット上に公開することだ。その際、営利目的も含めて、自由にデータを編集・加工することを認めるルールを整備することも重要なポイントになる。
新IT戦略では、まずは2013年度から公共データの利用ルール見直しに取り組む。この作業は、内閣官房が中心となって動く。さらに、各府省庁が公開する公共データを横断的に検索して活用できるようにするための「データカタログサイト」の試行版を全府省庁が立ち上げて、2014年には本格運用を開始する予定だ。
また、オープンデータを利用しやすくするための基盤整備として、共通語彙基盤や標準API規格の開発・実証にも取り組む。これらの業務は、総務省と経済産業省が担うことになる。(本多和幸)