ITコーディネータ(ITC)の私は、「中小企業IT経営力大賞(IT経営力大賞)」の事務局業務に従事している。前回に引き続き、この表彰制度で高い評価を得る秘訣を紹介しよう。
高く評価される応募と、そうでない応募の決定的な違いは、応募書類の文章の量にある。この差は歴然としている。大賞を受賞するような企業は、「経営環境と課題認識」から「課題を実現するための方策」「IT経営推進の取り組み」「IT経営実践の成果」までを、筋道を立てて、わかりやすく記述している。量的情報も充実していて、IT導入による効果がはっきりとみて取れる。だから、審査員も事例の内容をすんなりと理解することができる。
これに対して、評価の低い応募は、情報量が不十分だったり、箇条書きばかりで意図が読み取りにくかったりするケースが多い。審査員は、応募してきた企業を熟知しているわけではない。想像で補わなければならないようでは高い得点は望めない。実際には立派な成果を上げていたとしても、応募内容が参考事例として第三者に理解されなければ意味がない。そのためには情報量を上限いっぱいに増やし、審査員により多くの情報を提供することが大切になる。
そんな「IT経営力大賞」だが、実は、ITCが支援した企業からの応募の比率はそれほど高くない。「IT経営力大賞 2014」では、応募件数216件の3分の1程度にとどまっている。その原因の一つは、「IT経営力大賞」の認知度の低さとみられ、事務局にとっての課題となっている。
認知度を高める方策の一つとして、「IT経営力大賞」のロゴマークの活用が挙げられる。実際に中小企業と接する機会が多いITCが、実績を紹介するための資料やウェブサイトに、受賞企業の社名とあわせて受賞ロゴを付けるというやり方がある。また、ITCが自分の名刺にロゴマークを付して配れば、中小企業に関心をもってもらうきっかけになって、営業面で効果があるに違いない。多くの方々の協力で成り立っている「IT経営力大賞」を、ITCの全員に活用してほしい。(談)(真鍋武)