高校生のパワーは底知れないというお話──。

　岐阜のソフトピアで開催した「オータムキャンプ」において、情報系の高校生たち（岐阜各務野高校、大垣商業高校、岐阜総合学園高校）19人（そのうち16人が女子高生）が参加して、2泊の集中キャンプと1か月の放課後での作業で見事な成果を挙げ、大人たちはびっくりという報告である。

　今回はソフトピアが誇る若手ベンチャー企業4社と組んで、「AR（拡張現実）」「プロジェクションマッピング」「デバイス連携（iBeacon）」「デジタルファブリケーション」といった最新テクノロジーを活用した新しいサービスの開発を目指した。前回よりもさらにグレードアップしたテーマを掲げて臨んだキャンプだった。

　ただ、もしもキャンプが成功するとしたら、それは成果だけのことで、その実はメンター役のベンチャー各社が高校生を誘導し、しっかりと教育してしまい、高校生の自由な発想とか自主性は抑制されるかもしれない、と見込んでいた。しかし、そのような懸念は、成果発表を見て回ったときに一蹴されてしまった。キャンプ初日、最低限の基礎知識を教えている段階では、メンターもかなり不安な様子だった。しかしキャンプが終わり、放課後、自主的に集まって開発する段階になると、高校生はみるみる変貌していったようだ。プロならばやらない手法や手続きを平気でやってしまうし、そこで繰り返される試行錯誤の大胆さにはメンターも舌を巻き、なまじ教えないほうが、自分たちの方法を模索する楽しさと集中力で突き進み、おもしろい成果を出しそうだと判断した。その結果、あれよあれよという間に、4チームすべてがユニークな成果を出してくることになった。例えば、iBeaconを活用した「ビーコンおみくじ」は、バス停での待ち時間の暇つぶしに最適なカワイイおみくじアプリで、現在、社会実験が検討されている。

　知識伝授という一方的な教育をしないことがいかに大事なことか。チームの仲間と一緒にワイワイと試行錯誤を繰り返しながら、しかも自分たちが得意な画像やデザインをベースにして知識を協働的に創発させるスタイルを採用することによって、のびのびと作業を進めていく──こんな様子を目の当たりにして、大人たちは目からウロコの状態になった。引率する先生方の笑顔が実に印象的で、みんな、いい気分になったことをお知らせしておきたい。