日本オラクルは、4月9日、パブリッククラウドのPaaSである「Oracle Cloud Platform」を日本でも正式に提供し始めることを発表した。米オラクルは、2012年にIaaS/PaaSを含むパブリッククラウド「Oracle Cloud」を発表したが、日本では「準備中」の状態が続いていた。昨年4月の就任当初から、「タイミングの問題だけで、日本でのIaaS/PaaS型パブリッククラウドサービスの展開はもちろん考えている」と話していた杉原博茂社長兼CEOの言葉が、1年後にようやく実現した。(本多和幸)

杉原博茂
社長兼CEO 「オラクルは世界第2位のSaaS企業である」というのは、オラクル関係者の常套句だが、ハードウェア、ミドルウェアの大手メーカーでもある同社の強みをクラウドの領域で生かすには、インフラやプラットフォームのクラウドサービスも含めて、包括的に提供する体制を整えることが重要であることは言うまでもない。その意味で、Oracle Cloud Platformは、満を持して日本市場に投入されるサービスだ。
すでに提供可能な具体的なメニューは、データベースの「Oracle Database Cloud Service」、アプリケーション実行基盤「Oracle WebLogic Server」のクラウドサービス「Oracle Java Cloud Service」、Java EEアプリケーションのチーム開発を支援するツール群「Oracle Developer Cloud Service」、セルフサービス型で操作できる「Oracle BI Cloud Service」、ファイル共有ソリューションの「Oracle Documents Cloud Service」の五つだ。
グローバルでは、SaaS、PaaS、IaaSを合わせた売り上げは、この半年で10億ドルを突破し、年間20億ドル以上のビジネスになると見込んでいるという。日本国内でも、Oracle Cloud Platformをエンジンとして、クラウドビジネスの成長を加速させたい考え。日本オラクル内に、PaaSに特化した組織を設置し、エンジニア向けのワークショップや、国内の既存パートナー約1800社との協業体制を早急に固める意向だ。また、日本オラクル本社内に設置されているオラクル製品検証センター「Oracle Solution Center」で、Oracle Cloudとユーザーのオンプレミス・システムのハイブリッドな運用を検証する環境を整える準備もしているという。
杉原社長兼CEOは、PaaSの国内市場投入にあたって、「ミッションクリティカルな環境でも利用できる真のPaaSを提供する。オラクルマスターの資格取得者24万人には、みなさんにクラウドにシフトしてほしいが、オンプレミスとのハイブリッドでの提案でも、オラクルの商品・サービスラインアップの強みが生きることには留意してほしい。また、オラクルのPaaSとパートナーの商材、業種特化の提案ノウハウを融合したソリューション開発も進めたい」と、方針を語っている。(つづく)