富士通は、セキュリティマイスター認定制度に加えて、富士通グループのエンジニアに、もっとセキュリティへの関心を高めてもらうための施策にも取り組んでいる。それが、「サイバーセキュリティコンテスト」だ。(本多和幸)
サイバーセキュリティコンテストは、2014年12月の初開催以来、約半年ごとに開かれている。15年11月には、第3回コンテストが横浜市の富士通エフサス・みなとみらいInnovation & Future Centerで開かれた。奥原雅之・セキュリティマネジメントサービス事業本部サイバーディフェンスセンターセンター長は、コンテストを始めた目的について次のように話す。
「セキュリティ人材の発掘と、セキュリティに興味をもつ技術者層の拡大の二点を重視している。コンテストで上位に入賞した人は、すでにすばらしいセキュリティスキルをもっていることを証明したことになるわけで、埋もれていた潜在的にセキュリティの資質をもつ人がみえてくる。さらに重要なのは、もっと単純に、若いエンジニアにセキュリティっておもしろいんだと思ってほしい。ゲーム感覚で気軽に参加できて、参加してみたら楽しくて、上位に入れば自慢できる。そんな体験ができる場所としても活用してもらいたい」。
優勝者には、「名誉セキュリティマイスター」の称号が与えられる。「いきなりマイスターとしては認定できないが、参加者の励みになっているようだ」と、奥原センター長は手応えを語る。事実、参加者へのアンケートやヒアリングでは、ポジティブな反応がほとんどだったという。参加募集に対して予定人員を毎回オーバーしており、毎回申し込む「常連」も出てきている。
特徴的なのは、コンテストの運営を、前回説明した社内認定制度である「セキュリティマイスター」認定エンジニアのコミュニティが担っていることだ。運営チームは、「忍30」というチーム名で活動。コンテスト当日は、会場に「伊賀の里」「甲賀の里」という拠点をつくり、ここから試験問題を出したり、サイバー攻撃を仕掛けるなど、参加者にゲーム性を感じてもらえるように工夫している。セキュリティマイスター認定エンジニアにとっても、「自分のスキルを発揮して、社内に貢献できる場としてコンテストが役立っている」(奥原センター長)という。フォローアップの場になっているようだ。

2015年11月に開かれた第3回サイバーセキュリティコンテスト。
参加者の真剣な表情が印象的だ