［ERP］
企業のもつヒト・モノ・カネといった資源を統合的に管理することで、業務や経営の効率化を図る概念、パッケージシステム

　ERP（Enterprise Resource Planning）は、企業のもつ人事、生産/在庫、財務/会計、つまりヒト・モノ・カネといった経営資源の情報を統合的に管理することで、業務や経営の効率化を図るという考え方。また、それを実現するパッケージシステム（ERPパッケージ）のことをいう。日本語では、「統合業務パッケージ」などと訳される。

　ERPを導入することで、これまで個々に管理されてきたヒト・モノ・カネの情報を一元的に管理できるようになり、基幹系業務の効率化につながる。また、企業の経営状況をタイムリーに把握できることから、スピーディな意思決定や経営判断にもつながる。ERPベンダーとして、独SAPや米オラクルなどが代表的。

　ERPという概念は、1970年代頃から製造業で広く普及した生産管理手法「MRP（Materials Requirements Planning）」に由来している。MRPは、製品の生産計画をもとに、部品表や在庫情報から必要な資源の量、発注/生産日程を逆算して導き出すシステムで、「資材所要量計画」とも呼称される。これによって、在庫不足やリードタイムを削減し、工場の生産効率を最適化することが可能となった。

　このMRPに人材や物流管理などの機能を追加し、さらに企業全体に適用範囲を広げることで経営資源を管理し、企業経営の効率化を可能にしたのがERPだ。今やERPは業界や業種を問わず、さまざまな企業に広く導入されている。（文／前田幸慧）

［CRM］
顧客と長期的に良好な関係を築くために用いられる情報管理システムのこと

　CRM（Customer Relationship Management）は「顧客関係管理」ともいわれ、情報システムを活用して企業が顧客と長期的に良好な関係の構築を目指すマネジメント手法、もしくは、それを実現する情報管理システムのことを指す。

　CRMでは、顧客の企業名や部署、営業担当者をはじめ、商品の購入履歴や、問い合わせ・クレーム対応内容、そのほかのニーズや予算など、個々の顧客とのやり取りで得たさまざまな情報をデータベースに記録・管理する。こうして蓄積したさまざまな顧客情報を分析して、それぞれの要望に最適な対応を行い、顧客の満足度を高めていく。顧客を囲い込むことで、最終的には自社の売り上げの拡大や収益性の向上を目指す。

　また、CRMを用いることで、どのような顧客なのかが詳細に把握できるほか、担当者に依存せず、部門内で顧客情報をスムーズに活用できるなど、業務効率化の面でもメリットがある。

　よくCRMと対比される概念として「SFA（Sales Force Automation、営業支援システム）」がある。SFAでも顧客情報が管理できるが、商談の進捗状況やスケジュールの管理、営業部内での情報共有機能など、訳語の通り営業活動を支援するものとしての側面が強い。そうした意味では、CRMがSFAを内包するともいうことができ、両者に明確な境界を求めるのは意味がなくなりつつある。（文／前田幸慧）