富士通は、ネットワークの分野でも、ビジネスを早くから開始している。クラウドの浸透やデジタル化時代の到来は、ネットワークの分野にも大きな変革をもたらしており、“老舗”の看板に胡座をかくことなく、富士通のクラウド戦略と軌を一にした新しい取り組みを始めようとしている。(本多和幸)
富士通が提供するネットワークサービスのブランド「FENICS(フェニックス)」が、昨年、30周年を迎えた。のべ5000社を超えるユーザーにサービスを提供しており、これだけの長期間、同一ブランドで展開してきた商材は、ICTの世界では珍しい。1985年、国有事業だった通信事業が民営化された(通信自由化)ことをきっかけに、富士通も電気通信事業に参入し、VANサービスを開始した。
専用線やフレームリレー、ATMなどから始まり、IP-VPN、Ether-VPN、インターネットVPNなど、インターネット環境の普及とともにサービスの幅を広げたが、2000年代半ばまでは、ユーザーの拠点間で安心・安全かつ安定した通信を実現するという性質のサービスだった。やがて、モバイル端末の普及などにより、人やモノをビジネスとつなぐというニーズが発生してきて、リモートアクセスやM2Mのためのネットワークサービスを提供するようになった。これが、第2世代のサービスモデルだ。
富士通は、2015年をさらに大きなターニングポイントとして、FENICSの第三世代のサービスモデルが始まった年と位置づける。15年は、富士通のこれからのICTビジネスの中核となる「MetaArc」(本連載で既報)をリリースした年でもあり、FENICSは、このMetaArcを通信技術・サービスの領域で支えることを意図して、クラウド間連携やIoTに対応する機能を備えるようになっている。
村田亮・サービス&システムビジネス推進本部DC&ネットワークビジネス統括部DC&ネットワークサービス推進部部長は、「富士通のなかでも、同じブランド名でここまで続いているものはない。国産、外資を問わず、競合の総合ITベンダーも同様のサービスを手がけていたが、いつの間にか姿を消した。富士通は、お客様のリクエストやさまざまなユースケースを通じて得た知見を生かし、時代時代によってサービスモデルをうまく変化させてきたし、マーケットのエコシステムを活用して、新しいテクノロジーを積極的に提案してきた」と、富士通のネットワーク事業の強みを説明する。