サンディスクが国内でも提供を開始した「InfiniFlash」は、オールフラッシュに加え、SDS技術を全面採用しているのが特徴だ。コミュニティの最新の知見を生かし、コストパフォーマンスの高いシステムを構築できる一方、導入・運用をユーザー自身で行うのは困難。SIパートナーの役割が重要となる。（日高 彰）

　「重複排除・圧縮なしでギガバイト単価1ドル以下」という、オールフラッシュストレージとしてはこれまでにない低コストを実現した「InfiniFlash」。ただ、InfiniFlashの“箱”そのものはフラッシュメモリの塊であり、共有ストレージシステムとして使用するには、コントローラの機能をもたせる必要がある。この部分について、InfiniFlashはSDS（Software Defined Storage）のアプローチを全面的に採用し、汎用のx86サーバーとソフトウェアで実現している。メモリチップベンダー自らが提供する製品のため、フラッシュアレイを安く提供できるだけでなく、汎用のハードウェアを用いるSDSとしたことで、システム価格も低く抑えたのが特徴だ。

　SDSを実現するソフトウェアについても、買収したFusionーioがもっていた「ION」だけでなく、スケールアウトに対応したオープンソースの分散ストレージソフト「Ceph」も採用。自社技術のみならず、OpenStackコミュニティなどで注目を集めているトレンドを積極的に取り込み、エコシステムの力で性能やコストパフォーマンスを引き上げていく戦略をとっている。

　その分、ベンダーから提供されるアプライアンスを設置すれば、すぐに使い始められる従来のストレージ製品に比べ、取り扱いにはそれなりのノウハウが求められる。サンディスク エンタープライズセールスの奥村英記・リージョナルセールスディレクターは「大規模なクラウド事業者やウェブサービス事業者を除くと、自社でこのようなストレージをインテグレーションして運用できるユーザーはまだ少ない」と話し、InfiniFlashの拡販ではSIパートナーとの協力が重要になると説明。当初はOpenStackやSDSに積極的なパートナーと組んで市場を立ち上げ、順次販路を拡大する方針だ。

　また、SDSベンダーの米Nexentaと提携し、InfiniFlashとNexentaのソフトウェア、そしてパートナーのサーバーを組み合わせた、検証済みの構成も用意している。SDSのコスト優位性や先進性を、アプライアンス製品に近い扱いやすさで提供しようとする取り組みだ。

　このほか、パートナープログラムの強化も予定している。これまでも、Fusion ioMemoryやSSDなどのデバイスを取り扱うチャネルパートナー向けのプログラムが用意されていたが、SIerがオールフラッシュ製品の提案をより強化できるよう、エンタープライズ市場にフォーカスした支援内容を盛り込んでいく予定だという。