NTTデータはAI活用ビジネスの基本戦略としてクラウド・ロボティクス基盤を軸に据える。クラウド上に自然言語処理や画像・映像認識といった基本的な機能や、AIの知識に相当する情報を集約。この基盤を活用することで、AIやロボットを運用するコストを抑え、効率よく動かすことができるようになる。(取材・文/安藤章司)

NTTデータ
風間博之
センタ長 AIやロボットは小売業の接客、介護・医療支援、物流効率化、観光案内などを想定しているが、いずれも“人間とのスムーズなコミュニケーション能力”が必要で、こうしたAIに共通した機能をクラウド側にもたせることで、「端末としてのAIやロボット・デバイスの価格を極力安く抑えることで普及促進につなげる」(NTTデータの風間博之・サービスイノベーションセンタセンタ長)考えを示す。
FA(工場自動化)のような従来型のロボットは、ロボット単体で価値を生みだす設計がなされていることから、どうしても価格が高騰しがちであった。この“価値”の源泉となるエンジン部分をクラウド側でもたせて、これを複数のロボットで共有することで、ロボット側の機能を最小限にして、コストを下げようというものである。
活用例として、高齢者介護施設で利用者(高齢者)の見守りやコミュニケーションの活性化に役立てるケースなどが挙げられる。利用者との会話内容や離床センサ、人感センサから集めたデータをクラウド・ロボティクス基盤に送り、収集したデータを総合的に解析して利用者の生活状況を把握したり、対話促進のための“声かけ”を行う。介護施設ごとに個別にシステムを構築していてはコストがかさんでしまうが、AIの中枢部分を共有化することで「安価で高性能なロボティクス・サービスが提供できる」(同)ようになる。この介護施設向けのサービスは、すでに実証実験を始めており、2016年度中には商用サービスに移行させる構えだ。
NTTデータでは、他にも銀行の接客ロボットや、スペインにおいて集中治療室(ICU)向けの医療データ分析支援システムといった領域にも、AIやロボティクスを活用したサービス開発に取り組んでおり、同社では関連するビジネスで2018年度までに累計200億円ほどの売上規模を見込んでいる。