SAPジャパンは、インメモリコンピューティングによるデータベース、アプリケーションプラットフォームである「SAP HANA」を核に、顧客のビジネスの“デジタル化”を本格的に推し進める方針を示している。パートナーにも新しいビジネスチャンスをもたらす戦略として訴求し、顧客層の大幅な拡大も狙う。(本多和幸)

2016年を「デジタル化元年」と位置づける福田 譲社長 「2016年はデジタル化元年だと思っている。ITが占める位置をもっとお客様の経営の真ん中に近づける。日本のお客様に、より多くの投資をしていただき、その果実を手に世界で勝っていく流れをパートナーの皆さんと一緒につくっていきたい」。SAPジャパンが3月10日に都内で開いたパートナー向けイベント「2016年度第1回SAPパートナー・サミット・デー」で、同社の福田譲社長はこう宣言した。
実際、新しい市場を創出するために専門領域での先進事例づくりに取り組むべく、SAPジャパン自身が直接コンタクトする顧客は、より数が絞り込まれた。福田社長は、「とことん一緒に深掘りをするお客様を、2年前までは大手のお客様全体、約3000社と定義していた。しかし、昨年はこれを440社に削減した。今年はさらに選択と集中を進め、340社まで絞り込み、それ以外のお客様は、すべてパートナーの皆さんと一緒にご支援していくかたちにした」と説明する。
顧客へのデジタル化の提案で核となるのがHANAだ。HANA上で動かすことを前提にゼロから新しくつくり直した同社の最新ERP「SAP Business Suite 4 SAP HANA(S/4HANA)」や、PaaSとしてHANAをクラウドで提供する「SAP HANA Cloud Platform(HCP)」は、HANAによるデジタル化を促進するための具体的な商材といえる。
SAPジャパンは、昨年7月、HANA対応のERPテンプレート拡充を目的としたコンソーシアムを、パートナーと共同で設立した。S/4HANAリリース後は、その後継組織として「S/4HANAコンソーシアム」が発足し、22社が参加している。参加全社がテンプレートのHANA化を完了し、S/4HANA対応も着々と進んでいるという。また、複数のパートナーが、S/4HANAへの移行を包括的に支援するサービスを開始しており、パートナーとの協業によりS/4HANAを浸透させていく準備は整いつつあるといえそうだ。
また、とくにSMB向けの提案は、100%パートナー経由で行う方針も明確にしている。福田社長は、「パートナーの皆さんにご活躍いただける領域をできるだけ広げて、自由に活動していただこうと考えている」と方針を語る。昨年末には、ミロク情報サービスと、SAPのDBソフト「SAP SQL Anywhere」シリーズの包括的なOEMパートナー契約を結んだが、これはまさにそうした方針を具現化したものといえよう。
さらに今年から、SMB向けの提案のカバレッジを全国に広げるべく、パートナー営業の人員も増強しており、地方のSIerやISVを新規パートナーとして積極的に開拓する動きをみせ始めている。