「BCN AWARD」の液晶ディスプレイ部門で2年連続1位、プロジェクター部門で8年連続2位を獲得するなど、大きなシェアをもつベンキュージャパン。従来はコンシューマ向けの事業が中心だったが、法人向けの映像機器市場に風穴を開ける存在となるべく、この春には新たにデジタルサイネージ向けディスプレイを発売した。(日高 彰)
液晶ディスプレイはコスト競争が熾烈な市場だが、ベンキューグループは内部に液晶パネル製造大手のAUO(友達光電)を擁している。パネルの内部調達によって価格競争力を得られるだけでなく、新しいディスプレイ技術をいち早く製品に採用できることも他社に対する優位点となっている。
国内ではコンシューマ市場の開拓が先行していたが、最近は法人向けの売上比率が徐々に拡大し、全体の約2割を占めるという。ベンキュージャパンの菊地正志ゼネラルマネージャーは「バックライト制御の工夫により画面のちらつきを抑える『フリッカフリー』など疲労を抑え作業効率を高める技術や、高解像度モデル、カラーマネジメント対応モデルなどが、法人市場でも評価されるようになった」と話し、金融やコンテンツ制作などの現場でも採用が拡大していると説明する。
そして、国内の法人市場でもとくに今後の需要が期待できるとみて発売したのが、デジタルサイネージ向けの大型ディスプレイだ。今年4月に発売した新製品の「ST550K」は、55型の大画面で4K解像度に対応しながら、実売20万円台前半というコストパフォーマンスの高さが目を引くが、Android OSを搭載しており、ディスプレイ単体で写真や動画の再生、ウェブコンテンツの表示が可能と、機能的にも充実している。
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Android OSを搭載した55型4Kディスプレイ「ST550K」をサイネージ向けに提案

菊地正志
ゼネラル
マネージャー 菊地ゼネラルマネージャーは、「従来、デジタルサイネージはシステムが複雑で、表示する映像も専門業者に外注する必要があるなど、費用・手間の両面でハードルの高いものだった」と指摘。それに対して同社製品では、コンテンツ作成ツールを無償で提供する。ユーザーがコンテンツを自分で作成し、USBメモリに保存してディスプレイに挿入するだけでサイネージの運用を開始できる。大型の施設のみならず、飲食店やスーパー、ショールーム、オフィスビルのロビーなど、さまざまな場所での導入を想定しており、コンテンツ作成ツールにはそのようなシーンですぐに使えるデザインテンプレートも付属している。
従来のデジタルサイネージ製品は、IT機器というよりも映像機器に近く、市場が限定的だったうえに価格も高止まりだったが、ベンキューではIT機器のディストリビュータを通じて製品を販売することで、これまでPC用ディスプレイを扱ってきた販社や、SIerなどとともにこの分野での事業を拡大していく方針。PC用からプロジェクター、サイネージまで、ディスプレイ機器を1社で提案できる体制を整えることで、法人向け売上比率を全体の4割程度まで高めていく考えだ。